メルカリ起業家の山田氏はテック界の「野茂英雄」になれるか(前)
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米国では企業価値が10億ドル(約1,100億円)以上の未上場企業を、伝説の生き物に例えて「ユニコーン(一角獣)」と呼ぶ。フリーマーケットアプリを運営するメルカリ(東京)は創業から3年でユニコーンとなった。
メルカリの株式時価総額は7,172億円
メルカリは6月19日、東京証券取引所の新興企業向け市場マザーズに上場した。初値は公開価格3,000円を上回る5,000円。終値は5,300円。終値と発行済み株式総数を掛け合わせた時価総額は7,172億円で、マザーズ上場企業では他社を大きく引き離して首位となった。
メルカリの創業者の山田進太郎会長兼最高経営責任者(CEO)(40)は、保有するメルカリ株式(4,084万株)の評価額が初日の終値で換算すると2,164億円となり、一気に大富豪の仲間入りをはたした。米経済誌フォーブスの名物ランキング「日本長者番付2018」によると、2,164億円は26位になる規模だ。一ベンチャー起業家が、一夜にして大富豪になる。株式上場の醍醐味である。
山田進太郎氏は、1977年、愛知県生まれ。中高一貫の進学校、東海中学校・高等学校を経て、早稲田大学教育学部に進む。在学中に楽天で「楽天オークション」の立ち上げを経験した。卒業後の2001年ウノウというインターネットサービス会社を立ち上げた。「まちつく!」などソーシャルゲームでヒットを生む。10年に米国のネットゲーム大手シンガに譲渡。幹部に就任するが、12年に退職。その後、半年間かけて世界を放浪した。
〈帰ってきたら、ごく普通の友人までスマートフォン(スマホ)を使うようになっていた。手のひらサイズのパソコンともいえるスマホを見た時、かつて将来性があると感じたCtoC(引用者注:消費者同士で行われる電子商取引)への思いがよみがえってきました。これで世界が変わる。スマホを使えば、CtoCをもっと簡単により多くの人に使ってもらえると。〉(「日経ビジネスオンライン」2017年11月27日付)
こうしてスマホを使って、個人が手軽に不要品を売買できるフリーマーケットアプリのビジネスモデルを思いついたというわけだ。
フリマアプリアプリが大ヒット
2013年2月、(株)メルカリを資本金2,000万円で設立。メルカリの特徴は、当初から米国に進出するため株式上場を計画し、第三者割当増資を駆使して資金調達したことにある。ベンチャーキャピタルから125億円の資金を調達。2017年に上場を申請した。
だが、上場を目前にして問題が噴出した。メルカリは出品者の登録時に身分証明書が必要ないので、偽名でも出品可能である。盗品や現金など不正出品が社会問題になり、上場が遅れた。身元確認の強化などの対策をとって上場にこぎつけたのである。
メルカリが株式上場にともない公表した資料によると、これまで計1億回以上ダウンロードされ、利用者による年間売買総額は3,000億円を超える水準に急成長した。売上高の大半は手数料収入(商品代金)。ユーザーの半数以上が20~30代の女性たち。
17年6月期の連結売上高は前期比1.8倍の220億円、純損益は42億円の赤字。米国事業への投資がかさんでいるためだ。18年6月期の売上高は前期比1.6倍の358億円と大きく伸ばすが、純損益は30億円の赤字の見込み。海外事業の赤字が続く。19年6月期の売上高は同1.7倍の600億円、純損益は5億円の黒字に転換するとしている。
(つづく)
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