2024年11月23日( 土 )

福岡建設業界に衝撃 西中洲樋口建設「廃業届」提出の顛末(2)

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(株)西中洲樋口建設

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 西中洲樋口がもつ警察力とは、「警察一家」と呼ばれるほど強固で緊密な現役と警察OBとの人脈を指し、政治力とは身内から県議会議長を出し、さらに政界とのつながりを確固たるものにするまで仕掛けを怠らない用意周到さを指す。とくに政治力を確立した樋口氏の手法は、主に首長選挙において威力を発揮した。選挙資金の提供だけにとどまらず、従業員を選挙事務所に派遣するなどして動員力をみせつけ、徹底した戸別訪問を展開するなど各首長との間に「切っても切れない」縁をつくりあげたのだ。

 実際、17年3月に行われた下関市長選挙でも、当選した前田晋太郎氏陣営について動員を中心に全面的支援を行ったとされる。

 勝利するために欠かせない「ヒト・モノ・カネ」を提供して関係を築き、その関係性をバックに公共事業を獲得してきたとされる西中洲樋口だが、山崎広太郎元福岡市長が初当選した際には、同社関係者が「山崎広太郎氏を市長にしたのはおれだ」と豪語するなど、思い上がりともとれる言動が見聞きされるようになっていた。

 こうした「実力」をもつ西中洲樋口がなぜ廃業届を出したのか。建設業界関係者の間には、衝撃とともに「なぜ」という疑問の声が広がっている。

女性に暴行1年の沈黙

 「なぜ」を解明するためには、時計の針を戻し、ある「事件」をクローズアップする必要がある。
 2017年某日深夜、西日本最大規模の歓楽街・中洲(福岡市博多区)の高級クラブでその「事件」は起きた。ある60代の男性がクラブ従業員の女性を複数回にわたって殴打し、女性が失神するほど心身両面において被害を負わせたのだ。

 お酒が入ったうえでの暴力事件は、たしかに中洲ではそれほど珍しくないのかもしれない。しかし、この事件は「男性が女性を殴った」という意味で卑劣な行為であり、さらにもう1つ、男性の肩書の重みが「特別」だった。加害男性の名前は横尾博氏(64)。誰あろう西中洲樋口の代表取締役(当時)だったのだ。

 横尾氏はボクシング経験者と言われており、プロライセンスの有無に関係なく傷害事件におけるボクサーの拳は「凶器」だ。自分がしでかしたことの重大さに気付いた横尾氏は、女性に謝罪したうえで示談をもちかけたという。しかし女性は示談を拒否したとみられ、福岡県警に訴えたことで横尾氏の暴行行為は事件化した。

 唐突な廃業届の裏に、横尾氏の女性暴行事件があるのはたしかだ。取材により、弱い立場の女性が後遺症の残るほどの暴力を受けていたことも明らかになりつつある。事は、横尾氏個人の問題ではなく、西中洲樋口の社会の公器である「会社」としての姿勢が問われる問題だ。取材班は、暴行事件の顛末や廃業届提出前後の動きの詳細をつかんでおり、近く本誌で続報を掲載する予定である。

(つづく)
【特別取材班】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:樋口 征男
所在地:福岡市中央区西中洲12-13
設 立:1969年11月
資本金:8,800万円
売上高:(17/9)18億84万円

 
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