2024年11月05日( 火 )

福岡建設業界に衝撃 西中洲樋口建設「廃業届」提出の顛末(3)

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(株)西中洲樋口建設

女性に対する暴力行為の事件化と注目される結末

 西中洲樋口建設(以下、西中洲樋口)が廃業届を提出せざるを得なくなった背景に、同社前代表取締役・横尾博氏の暴力事件が関係していることは間違いない。

 許可を受けた建設業者の役員が暴力行為などで処罰されたのであれば、通常、対象企業は建設業許可の取消処分(建設業法29条)を受けるはずだ。悪質な処分逃れなどが明らかになれば、許可取消後5年間、新たに建設業許可を取ることができなくなるため、建設業を営む企業にとってはまさに「死活」問題となる。

 建設業界に40年以上の長きに渡り関わってきた横尾氏が、建設業法29条について知らなかったとは考えにくい。ではなぜ、横尾氏は女性に対する暴行という卑劣な行為におよんでしまったのか。業界関係者が噂するのは、横尾氏が抱えていた過剰なストレスが事件の背景にあるということだ。

 横尾氏と西中洲樋口の前会長である樋口征男氏(現・代表取締役)は、西中洲樋口がまだ樋口材木だった頃からの仲。樋口氏はそんな「相棒」と呼べる横尾氏だからこそ、全幅の信頼を置いて会社を任せていた。横尾氏もその思いに応えようとしたが、いつからか、その思いは重圧となって横尾氏を苦しめていた可能性もある。経営トップは孤独であるというが、ゆえに誰にも打ち明けることができず、自ら手に余るストレスを抱えてはいなかったか。
 横尾氏が中洲のクラブで、会社や樋口氏に対する思いを吐き出す姿を目撃した者もいる。事件当日、横尾氏のストレスが単なる愚痴で発散されなかったのであれば、行きつけのクラブだという安心感も手伝って女性の態度が癪にさわって口論へと発展、ついに手が出てしまった――そんなシナリオがひとり歩きするほど、横尾氏が抱えていた「闇」に対する憶測は広がっている。

 暴行事件は先述の通り、建設業者にとって死活問題になる重要案件だ。ゆえに本来なら速やかに西中洲樋口の会長(当時)である樋口氏に事実関係を伝えるべきだったはずで、横尾氏がなぜ約1年間も沈黙を続けたのか、さらに5月に突然廃業届を出した理由や背景は何なのか。さらに最大の問題は女性暴行事件が刑事事件化したのかどうかだが、この点については取材の過程でさまざまな事実が明らかになっている。

(つづく)
【特別取材班】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:樋口 征男
所在地:福岡市中央区西中洲12-13
設 立:1969年11月
資本金:8,800万円
売上高:(17/9)18億84万円

 
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