2024年11月23日( 土 )

厚労省が「働き方改革」を評価した建設会社・採用率・定着率上昇させた女性社長の覚悟

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 道路標識やガードレールなど交通安全施設工事を手がける大輝ロード(株)は、6月8日、厚生労働大臣より「ユースエール」企業の認定を受けた。「ユースエール」認定企業とは若者の採用・育成への積極性と雇用管理の状況が優良と認定された中小企業のこと。

 大輝ロード(株)の昨年の社員平均の有給休暇取得実績は14日。閑散期のリフレッシュ休暇でまとめて9連休という社員も少なくない。午前8時~午後5時の就業時間において月平均時間外労働は14時間未満。また過去2年間で採用した新卒・既卒5名のうち離職者は1名だった。

 同社は以前、人材育成に課題を抱えており新入社員がなかなか定着しなかった。近年、人手不足が深刻度を増すなか危機感を募らせる。「若者が入社するが定着しないという状況から、応募がまったくないという状況に変化した」(大黒氏)。腹をくくった大黒氏は労働環境改善に向け「請負業だからやむを得ない」という考えを捨てる。従来のやり方にこだわる社員を引きずるように巻き込み、生産性向上に取り組んだ。また、受注先には自ら電話して閑散期には午後5時までに事務所から退勤できるように依頼した。学校行事に参加するなどの有給休暇の積極的な消化に向けて、15年に「福岡県子育て応援宣言企業」に登録し、意識改革を図った。こうした取り組みが実を結び、残業が激減し若手社員の定着率があがった。ベテラン社員からは「社長の言いたいことがわかった」と言われ人材育成に意欲を示すようになったという。こうしたなかで今年「ユースエール」企業制度の存在を知り認定を勝ち取った。

「資格取得を積極的に推奨」

 「働き方改革」という表現が浸透する以前から労働環境改善に取り組んだ同社だが、実現には受注先の協力が不可欠だ。一歩間違えば、信頼関係の崩壊で受注減へとつながりかねない。大黒氏は率直に依頼したことに加えて同社の機動力を評価してもらっている可能性を指摘する。

 大輝ロードでは従来から社員の資格取得を推奨してきた。可能な業務領域が広がることで社員のモチベーションアップにつながると考えたからだ。現在、現場に関わるすべての社員が資格を有しており中には1人で20の資格を有する社員も在籍する。交通安全施設工事では必要な資格も少なくない。多くの有資格者を有する同社はさまざまな工事に対応できるので重宝されている。

 人材の採用や育成度合いをにらみながらの営業活動で業績の急拡大は期待しにくいが、人材確保と成長により「安心、安全な住みよいまちづくりに貢献する」という理念の実現に手応えを感じている。

<COMPANY INFORMATION>
大輝ロード(株)
代 表:大黒 亜紀子
所在地:(本社)福岡市東区香椎6-6-30
    TEL:092-672-2820 FAX:092-672-2824
    (久山事務所)福岡県糟屋郡久山町山田2035-7
    TEL:092-976-2644 FAX:092-976-0338

 

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