2024年04月20日( 土 )

【18年W杯】決勝が終わり、次のW杯への挑戦始まる

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 サッカーW杯ロシア大会決勝は、フランスがクロアチアを4-2で破って優勝した。クロアチアはMFルカ・モドリッチを中心としたチームワークで立ち向かったが、フランスは個々の選手の質、ベンチワーク、コンディショニング、選手層の厚さとすべてにわたってクロアチアを上回り、圧勝。1998年の自国開催のW杯以来2度目の栄冠を勝ち取った。

 フランスは19歳の超新星MFキリアン・ムバッペの活躍に注目が集まったが、冴えを見せたのはフランスのディディエ・デシャン監督の采配。モドリッチをケアするためにしばしばフランスのフォーメーションにスキができていたことを見抜き、マークにあたっていた世界最高の守備的MFエンゴロ・カンテを後半10分で交代。布陣を見直したことでクロアチアのカウンターを無力化し、最終的に4点を奪う圧勝劇を演出した。

 これで、ロシアW杯は64試合すべてを消化。選手たちはつかの間のバカンスを終えるとそれぞれのクラブに戻ることになる。日本でもJ1が明日(18日)から再開(J2は中断期間なく実施)し、W杯戦士たちは自らのクラブチームのための戦いを再スタートする。

 今回のW杯は、「スーパースター時代の終わり」と位置付けることができるだろう。リオネル・メッシ、クリスチアーノ・ロナウドなど世界最高のスターを中心にしたチームが、高い運動量に支えられた組織サッカーに屈するシーンが数多く見られた。今回猛威を振るった「組織」が生み出した戦術は、ボールを奪った途端にスタートする高速カウンター。とくにベルギー対日本の3点目は象徴的。GKティボ・クルトゥワがボールをキープした瞬間、世界最高クラスの評価を受けるベルギーの選手たちが全力でダッシュし、スピードを落とさないまま次々とパスをつないでネットを揺らしたあのゴールからは、学ぶべきことが多くあるはずだ。

 そのなかでも最大のものは、「あのプレーはその場の即興では不可能だ」ということ。本番寸前に監督を替えるようなチームからは、あのゴールは生まれない。そしてベルギーという国からは、「あのようなすばらしい選手たちは、長いスパンの選手育成の結果としてしか生まれない」ということを学ぶことができる。2002年6月4日、埼玉スタジアム。日韓共催W杯の初戦を迎えた日本代表の前に立ちはだかっていたのは、ベルギー代表だった。日本と引き分けたベルギーはグループ2位で決勝トーナメントに進んだが、初戦でブラジルに0-2と敗れ敗退。その後、2大会はヨーロッパ予選を勝ち抜けず低迷したが、この間徹底した若手育成策を行い、MFエデン・アザール、MFケビン・デ・ブライネらが頭角を現した2014年ブラジルW杯ではベスト8に進出した。そして今回、初めてW杯3位という栄冠をつかんだのである。02年では日本代表とそれほど遠くない位置にいたベルギーが、なぜこれほどの躍進を見せたのか。サッカー関係者はもちろん、サッカーを見る側としても考えていかなければいけない。

 さて、4年に1度のお祭りは終わった。サッカーの素晴らしさは、近所の草サッカーからJリーグ、チャンピオンズリーグ、W杯まですべてつながっているところだ。明日(18日)からは、「僕たちのサッカー」Jリーグがリスタートする。真夏のピッチを駆ける選手たちに、W杯と変わらぬ声援を送ろう。

【深水 央】

関連記事