ISIL退潮、組織テロから一匹狼テロへ~「国際テロリズム要覧」を読む
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公安調査庁は、毎年「国際テロリズム要覧」として、世界のテロ情勢や国内外のテロ組織の動向などをまとめている。2018年版では、特集としてISIL(イラク・レバントのイスラム国)の動向について伝えている。
一時はイラク北部・シリア東部などを中心に広い範囲を占領して「国」と呼べる規模となったISILだが、17年末までにすべての重要拠点を喪失。有力幹部も次々に死亡し、小規模なテロを繰り返す状況にまで後退した。ヨーロッパや中東などから「外国人戦闘員」を勧誘していたことも大きな社会問題になったが、彼らも相次いで帰還。帰国後のテロ活動が警戒されている。
01年のアメリカ同時多発テロからアフガニスタン紛争、アルカイーダの跳梁とISILの台頭と、20年近く続いてきた「テロとの戦い」にも一定の区切りがついたとみなすことはできる。しかし実際には、東南アジアでは分離独立を目指す勢力が急進的な宗教勢力の影響を受けて過激化するケースもあり、決してテロの脅威が過ぎ去ったとはいえない。
「要覧」は付録として、日本のテロ組織である「オウム真理教」「日本赤軍」にもページを割いている。オウム真理教関係では、麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚ら教団幹部の死刑が執行された。しかし後継団体にあたる「Aleph(アレフ)」などには依然として麻原の影響力が残り、危険であるとして無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(通称・オウム新法)の定める観察処分の対象となっている。
【深水 央】
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