【検証】「ゴーン国外脱出」~王は法を犯さない
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現在の日本は、「検察と裁判所は法を犯さない」か
被告人・ゴーンは入管法違反(形式犯)の罪を犯しただけなのに、「国権を揺るがす」「国権に対する重大な挑戦」とまで非難されている。日本人の入管法違反に対し、このような言説を聞いたことがないから、これはゴーンが外国人であるからだろう。そういえば、ゴーンは母国と自宅に戻っただけである。
裁判所が、GPSをつけて、自宅に戻ることを許していれば、そもそもこの「犯罪」は発生のしようがなかった。GPS装着が非人道的と思えば付けないで許可すればいいだけだ。
検察は刑訴法の大原則である検察官の順法義務違反と憲法違反を犯し、裁判官はそれを容認する違法な訴訟指揮権の濫用で同様の大罪を犯した。ゴーンはどれだけ声を枯らしてこの国家権力の大罪を批判してきたことか。これを一切国民に伝えなかったのが日本のマスメディアである。このため、ゴーン事件が世界に報道されればされるほど日本国民は世界の笑い者になっている。
「罪人が何を言う」これは有名な落語家のMCが繰り返しテレビやネットで主張してきたことである。このMCがいう罪人とは入国管理法違反についてだけ言っているものと信じたいが、世間ではゴーンの国外脱出は「もはや科刑は免れないと悟ったため」とまことしやかな動機が流布しており、これらの情報発信源がいずこであるかは、日本人なら誰でも知っている。この裁判の判決が出ない前の「有罪推定」こそが、日本の文明的後進性である。
具体的には、日本では、検察に逮捕起訴された段階で強い有罪推定がはたらく。それをささえるものが「検察と裁判所は法を犯さない」という秘密の法格言である。
このような国で刑事被告人となった者が冤罪から逃れるためには国外脱出しか方法はない。「正々堂々と裁判所での裁きをうけるべきだ」と主張する「知識人」は多い。それは「潔く冤罪を覚悟せよ」と言っているのに等しい。「知識人」は膨大な冤罪の存在を知らないか、無視している。どちらも許されない。
刑事裁判有罪率99.9%の問題性の本当の意味は、検察の起訴時に強い有罪推定を生み出していることである。単なる比率それ自体を議論しても意味がない。刑事裁判が法と正義に従って遂行されていれば、その結果の数字を議論する意味はない。論者は検察と裁判官の法執行が違法な結果、有罪率が99.9%と異常である、と言っているもので、99.9%が異常な比率であるから、検察と裁判所の法執行は不正・不当であると言っているのではない。
論理的思考教育をほとんど回避する日本の公教育の結果、日本国民はこの論理の順序方向を理解することができない。その結果、本質的な問題を理解しないままに終わる。
ゴーンの国外脱出は、背後に重大な国家権力の違法行為・犯罪行為があって発生したものであり、ゴーンが科刑逃れのために脱出したのではない。その証拠を今、眼前で国民はみせつけられているのに理解することができない。ゴーンの公然とした反撃こそ、ゴーンが科刑逃れの為に脱出したのではないことを雄弁に物語っている。
【凡学 一生】
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