2024年05月13日( 月 )

組織づくりは次のステージへ~次の50年目指す大英産業の挑戦(前)

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大英産業(株) 常務取締役 一ノ瀬 謙二 氏

地域密着だからこその強み

 ――御社の強みは、どこにあるのでしょうか。

「ザ・サンパークシティ守恒」イメージパース

 一ノ瀬 弊社の最大の強みは仕入れ機能です。いかに良い土地を仕入れるか、デベロッパーの仕事はここから始まるからです。北九州エリアだけでも1,000社以上の不動産会社がありますが、インターネット上で確認できる土地情報は3割にも満たない現状があります。そういう物件情報をいかにして引き出すのか。そのために重要なのは、情報をもっている方々との信頼関係の構築です。そこに近道はありません。社員のみんなが1軒1軒訪問し、誠実に対応してくれることで情報を引き出してくれるのです。そして、50年以上地域密着で活動している弊社だからこそ、多岐にわたるネットワークがあり、それを活用することで良い物件を仕入れることができています。

 また、OBのお客さまへの徹底したフォローも弊社の強みといえます。弊社が創業時に小学生だったお子さまが大人になり、家族をもち、家を買っていただく。ありがたいことに、多くのお客さまにご家族をご紹介していただく機会をいただいており、なかには3世代にわたって大英産業で家をご購入いただいているご家族もいらっしゃいます。

 デベロッパーは市況が悪化すると供給を止め、良化すると供給を再開する傾向にあります。これでは継続性がないため、お客さまとの連続性も生まれ難い。弊社では継続して供給を続け、お客さまと関わりをつなげてきました。仕入れ機能とOBのお客さまへの徹底したフォロー。これは、50年以上地域密着で活動しているからこそ得られた強みでもあります。

 ――北九州という堅固な基盤に加え、近年は福岡市内でも実績が増えてきました。

 一ノ瀬 マンション事業では、重点エリアと注目エリアを選定しています。重点エリアは北九州、熊本、大分。福岡は注目エリアとしています。シェア拡大を目指しているのが重点エリアで、目標数値も設定しています。一方の注目エリアは、長期的に開拓を目指しているエリアです。

中古再販事業の強化

 ――現在、大英産業として注力していることについて、お聞かせください。

 一ノ瀬 弊社は、新築物件の割合が高く、今後の不動産市況を考えると、中古物件の買取・再販(以下、中古再販)の強化が必要だと考えました。そこで、中古再販を新たな収益基盤にすべく、私が中心となって1年間という期限を設け、中古再販事業部の再建に取り組みました。半年間で1人あたりの事業利益を黒字化できなければ、事業部を解散し、会社を辞める覚悟で臨みました。社員の士気をどう高めるかなど、課題は少なくありませんでしたが、中古再販事業部は何とか黒字化を果たし、弊社の事業の柱に成長しつつあります。

 ――中古再販に力を入れようと思われたのはなぜでしょう。

 一ノ瀬 人口減少にともない、我が国では空き家が増えています。弊社がこれからも住まいの提供を通じて、人とまちに寄り添う事業を展開し、発展させていくためには、ストックを生かせる中古再販事業の充実が不可欠です。主な営業エリアは、北九州、福岡市内、熊本で、たとえば3人1チームというように、小ユニットでそれぞれのプロジェクトの遂行に当たるイメージです。

 一定の裁量を与えたうえで任せてもらえる。挑戦を前向きに捉える社風も、中古再販事業再建の一助になったといえます。

一ノ瀬 謙二 氏

 これまでは、モノをつくってそれを販売すればよかった。KSF(主要成功要因)が営業力にあったのです。しかし、供給過多の時代では、お客さまが何を求めているのかを探り、期待に応える商品企画力が求められます。私が今一番大事にしているのは、ご購入いただいたお客さま回りです。狙いとしては2つあって、1つは学びです。思いがけない間取りの使い方など、実際に足を運ばなければ知ることのできないことは多々あります。新たなビジネス、商品を生むきっかけは、お客さまからしか得られません。

 もう1つは、経理や事務といった営業支援部門との情報共有です。お客さまと直接会う機会が少ない彼らに、お客さまの生の声を聞いてもらい、自分の仕事が喜ばれていると実感してもらいたいのです。お客さまの声は動画で撮影して、社内で共有しています。この取り組みは3カ月に一度行っており、仕事の目的と価値を見直すことができる、有意義な時間だと思っています。

 中古再販事業の強化を通じて、改めて人は“安心感”を求めて住まいを購入するのだと気づかされました。新築物件は最新の設備やデザインを得られますが、中古物件は新築に比べて手ごろな価格帯になることで生活に余裕が生まれる―というように、それぞれに良さがあります。こうした住まいの価値を、お客さまに直接語ってもらい、それを共有することで、社員の仕事に対するモチベーションを高めていく。経営に携わる身として、非常にやりがいのある仕事です。

(つづく)

【代 源太朗】


<プロフィール>
1980年8月生まれ、佐賀県嬉野市出身。学卒後、2003年9月に大英産業(株)に入社。営業実績が評価され、不動産事業部長を経て、13年10月、常務取締役および管理本部長に就任。16年10月には不動産流通事業部長を、17年11月には(株)リビングサポートの取締役をそれぞれ兼任し、19年10月、マンション事業本部長に就任した。趣味はトライアスロン、読書。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:大園 信
所在地:北九州市八幡西区下上津役4-1-36
設 立:1968年11月
資本金:3億1,757万円
売上高:(19/9連結)302億2,000万円
URL:https://www.daieisangyo.co.jp

(後)

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