変化する労働市場~弁護士も収入難・就職難に(後)
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このような弁護士業界の不安定さから、資格取得後の就職先もしくは転職先を弁護士事務所ではなく、一般企業内に求める動きが増加しています。企業専任として雇用される弁護士のことを「企業内弁護士」もしくは「社内弁護士」と呼びます。
日弁連の調べによると、日本における企業内弁護士の数は2001年の66人に対し、10年後の11年では587人、17年では1,931人に増加。たった6年間で、約3.3倍にも増加しています。(表2)
同様に、企業側の専任弁護士雇用数も増加しています。2001年の39社に対し、11年は326社、17年では937社。11年から17年で約2.9倍に増加しています。(表2)17年度の企業内弁護士の年収は、500万円~750万円が32.2%で最も多く、これに750万円~1,000万円未満の13.6%が次ぐ。2.5%の弁護士は、5,000万円以上の収入を得ています(参考:日本組織内弁護士協会「企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2018年2月実施)」)。
企業内弁護士は経験が5年未満、10年未満で年齢も35歳未満といった若手が雇用されている割合が高いのが1つの特徴。年収200万円~300万円程度でも珍しくない若手イソ弁・即独弁護士たちに対し、企業内弁護士で年収250万円未満の割合はたった0.5%。企業に採用されるのは一部の優秀な弁護士であることは間違いありませんが、この格差を見ると企業内弁護士を希望する者が増加するのも無理はありません。弁護士の増加、顧客のニーズの変化、IT技術の発達などにより、若手もベテランも苦戦を強いられている弁護士業界。しかし他方では、弁護士でありながら企業に務めるといった、働き方の選択肢が増加したという見方もできます。
また、弁護士のなかには、企業向けのコンサルタントに舵を切った事務所も少なくありません。2000年に弁護士の広告が解禁になり、インターネットが主要なツールになってからは、うまく広告や情報を発信し、集客を図る弁護士事務所とそうでない事務所での格差も明らかになっています。いずれにせよ、弁護士たちが転換期を迎えていることは相違ありません。個人にせよ法人にせよ、激変の時代をどう生き抜くかという戦略・選択に命運がかかっているといえるでしょう。
(了)
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