北洋建設総帥・脇山章治氏の次なる戦略は?(2)
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引退の口三味線
この2年間、体調不順なこともあったようだ。会えば、「いやー、会社は弟・亨治に任せている。会社のことにはタッチしていない。毎日、読書三昧よ」とおとぼけが入る。実際に、その頃はいつもメイプルホームの乗富社長(現会長)と、本の所感をやり合っていたようだ。「まだ陣頭指揮をやっていける歳ではないですか?」と発破を入れたつもりであったが、「コダマさんはいつも精力溢れる方だが、私はもうゆっくりしたい」と観念した素振りを見せる。
それを聞くと、「『息子の章太はしっかりとやってもらえば、私の役割は終焉だ』というのが本心かな」と、こちらも惑わされ当惑する。「いやー、ウエムラさんには逆立ちしてもかないません」と、本音ともつかない発言をすることもたびたび耳にした。
そして昨年秋の褒章で黄綬褒章を受章し、800名集めて盛大にお祝い会があった。社団法人日本木造住宅産業協会九州地区の要職で、長年貢献したことに対する受賞であった。合理的な思考の持ち主である脇山総帥が受賞することを聞いて、意外感を抱いたことは紛れもない事実であった。率直に言えば、同氏の生き様を目撃してきた者にしてみれば、違和感を持った。「これで思い残すこともない。引退するのかな」という一抹の寂しさを覚えた。だが、引退が口三味線であることが間もなく明確になった。(株)九州みらい建設グループの立ち上げの意図は何?
この『(株)九州みらい建設グループ立ち上げ』の通知を読みながら「脇山章治総帥の狙いは何なのか?」を必死で思索した。
くどくどと同氏のビジネス人生観を述べてきた。理知的、合理的な思考の持主は(1)利益を追求し儲けることにはシビアである。当然のことだ。だが、(2)あまり名誉欲、事業欲には頓着はないとみられてきた。「建設業界で一番になる」という事業名誉にはあまり関心がないというのは偽りがないとみる。「上村さんと比較されても勝ってこないよ」という通常のセリフも、本音であったに違いないと読んでいたのだが――。また今までにも、北洋建設の業績進展についてあまり赤裸々なことに触れると、脇山氏は嫌がっていた。最近は、この業績推移を隠したがる傾向が顕著になってきた。もともと同氏の人柄は、あまりオープン性に乏しい。過去、数十回取材を行ったが、一般論の優秀な答えは返ってくるが、具体的な戦略・戦術論に関しては口を閉じる。よほど問題点を投げかけないと、具体的な回答が戻ってこないのだ――。自社の情報を極力、隠す習性がある。
上村建設、照栄建設、北洋建設のHPを参照していただきたい。上村建設と照栄建設は、HPを通じて企業宣伝を巧みに駆使している。ところがだ!!北洋建設の場合には、無味乾燥なつくりである。最低の企業情報の公開に徹している。求人情報のところだけは多少力点を置いているが、お義理という感じである。
意外と経営者・脇山総帥には、用心深さを超えて警戒心を露わにした防衛本能があるようだ。たしかに読書三昧をしても、65歳の若さである。退屈になってくる。社団法人日本木造住宅産業協会の中央のメンバーは、70歳過ぎても元気なお歴々がいる。「脇山君!!君はまだ若い。若年寄で終わったらいかんぞ」と薫陶を受けて、発奮したのかもしれない。「よっしゃ、もう一度、原点に戻って経営をやるか!!」と、気持ちを切り替えた可能性はある。脇山氏にとって、自己活性化のためには良いことだ。寿命も延びることになる。
しかし、事業への再アタックをするのであれば、新事業への挑戦されることを願いたかった。まーどうであれ、この(株)九州みらい建設グループ立ち上げの背景をレポートしてみよう。
(つづく)
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