進興設備工業研究(2)~水面下には様々な隠し物がある(前)
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代が変わっても業績に変動なし
進興設備工業の2015年2月期をみると経営者の代が変わろうとも業績は不変で堅調であることが分かる。以前、触れたように、この会社の中興の祖は2代目社長の舩津政隆氏だ。そして3代目に創業者の実子になる的野敢氏、さらに4代目には生え抜きの大野史朗氏が継いだ。そして15年2月期の決算を眺めると着々と当社の戦略の布石が打たれているのがよくわかる。頑固なまでに詰め将棋がなされている。どういう意味か説明していこう。
完成工事高総数14億4,611万円であるが、構成は完成工事高10億4,094万円、RM工事高4億0,517万円である。完成工事高というのはゼネコンから受注したもので、RM工事高とは改修工事を指す。改修工事というのは施主から直接、請けるものである。同社の場合の受注戦略としてゼネコンから50%、改修工事50%という目標設定がなされているのだ。この戦略設定実現に向けて頑ななまでに意志貫徹を図っている。代が変わってもやることは何ら変化せずに初心貫きを悠然と歩んでいるのである。
大野社長の弁によると「私の後継は決まっている。社内の生え抜きである。私が責任を持って言えることは次の5代目も舩津が構想した従来の戦略を踏襲していくであろう」となる。この自信の裏付けは圧倒的な、卓越した財務基盤によるものである。純資産率=自己資本率は67.4%であり無借金の資金状況だ。年間売上に対置できるほどの企業価値を得られる空調工事業者は稀有である。これだけの財務内容が充実しているがゆえに「毎期の税金対策は頭が痛かろう」と同情する。
14年2月期は役員退職金費用で賄ったが
14年2月期を参照していただこう。14億4,802万円の完工高に対して経常利益1億2,181万円はさすがである。よくもまー8%を超える経常利益を捻出できるものだ。これだけでも感服する。この期の節税対策費で特筆すべきことは、特別利益6,761万円と特別損失1億5,801万円を計上して9,040万円の純損失を計上していることだ。
特別損失の主なものは(1)貸倒損失1,053万円、(2)役員退職金8,207万円、(3)有価証券売却損2,821万円となる。(4)の貸倒はこの期で完全に償却したとみられる。
(2)の役員退職金は3代目的野社長などへ支払いの発生とみられる。だから14年2月期は役員退職金の発生があって税金対策にあまり頭を痛める必要がなかった。救われたのだ。ところが、(3)の有価証券売却損には「何、これは?」と違和感を抱いた。進興設備工業を永年、見守ってきたものとして訝るものであった。とりあえず役員退職金の支出があり14年2月期は税引前利益3,141万円で済み、貸倒は完全償却済みとなった。(つづく)
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