165億円で引き抜いたソフトバンクのアローラ副社長の役員報酬は?(後)
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グーグル時代の報酬を上回るか
持ち株会社ソフトバンクグループの代表取締役副社長に就いたアローラ氏にいくらの年間報酬が支払われるか。グーグル時代の60億円を上回るかが注目だ。
ソフトバンクには、取締役の報酬限度額に年間8億円という制限がある。それをクリアできる道はいくらでもある。事業会社のトップを兼任し、ストックオプションで稼ぐという方法だ。持ち株会社に移行した、隠された狙いだろう。
ストックオプションとは、予め決められた価格で自社株を買う権利である。経営者に時価より安く自社株を与える権利を与える。そうすれば、経営者は株価を高くするために努力する。これで経営者の利益と株主の利益が一致する。高額報酬を得ている外国人役員は基本報酬より、株式報酬が大きいものだ。
孫正義社長は、会社から支払われる役員報酬ではなく、配当金を収入源としている。15年3月期の役員報酬は1億3,100万円。長年右腕として活躍してきた宮内謙氏の1億5,800万円を下回る。
アローラ氏が代表権のある副社長に就いたため、宮内氏は代表取締役副社長からヒラ取締役に降格になった。孫社長は、アローラ氏がやりやすいように古参幹部を切ったわけだ。
孫社長が手にする配当金はハンパではない。個人の資産会社である孫アセットマネ-ジメント合同会社他3社がソフトバンクから受け取る配当金は100億6,100万円也。役員報酬なんかメじゃない。孫社長は経営者というより投資家というほうが実像だ。アローラ氏はSB グループ USで宝の山を掘り当てるか
それではアローラ氏の役員報酬を如何にひねり出すか。ヒントになるのが、ロナルド・フィッシャー取締役の連結役員報酬。孫社長の14倍弱の17億9,100万円の役員報酬があった。ただし、ソフトバンク本体の役員報酬はなし。SOFTBANK IncやGalaxy Investment Holdings、Sprint Corporationの株式報酬が83%を占める。
海外子会社は、経営者の才覚で宝の山に生まれ変わる。アローラ氏は、持ち株会社ソフトバンクグループのほか、海外戦略子会社であるSBグループUSの最高経営責任者、携帯電話子会社スプリントの役員。6月には孫正義氏に代わってヤフーの会長にも就いた。
アローラ氏の活動拠点はSBグループUSである。昨年9月、アローラ氏を招聘するために設立された海外M&A(合併・買収)会社だ。アローラ氏は就任以来、インド、インドネシア、シンガポール、中国の会社への出資を加速。今6月には、韓国のネット通販大手フォーワード・ベンチャーズに1230億円を出資すると発表した。6月末に、米グーグル当時の部下で、米リンクトイン幹部のディープ・ニシャール氏をスカウト。彼はアローラ氏の下で、海外投資にあたる。アローラ氏はSBグループUSで宝の山を掘り当てることができるか。結果を出せば、グーグル時代の60億円を上回る役員報酬を手にすることになりそうだ。
(了)
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