ふくおかフィナンシャルグループの実力(6・終)
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人口減の脅威
10月23日夕、天神で福岡県在住宮崎県人会が行われた。参加者は300名程度というところか。宮崎県副知事による来賓挨拶のなかで「宮崎県の人口は111万人です」を耳にしたときに愕然となった。「宮崎県の人口は120万人近くあったと思うのだが、もう110万人を割るのか?」という驚きである。この急激な人口減少が進めば地方銀行の将来はない。
資料を手繰ってみると宮崎県人口のピークは1995(平成7)年で120万人に迫る勢いがあった。宮崎県の人口が100万人を突破したのが1950(昭和25)年だが、その後、若者が県外に巣立っていても、95年までに20万人増というペースで推移していたのだ。しかし、今後の見通しでは、2030(平成42)年に100万割れに近づく。
さらに10年後の2040(平成52)年には90万人を割ると予測されている。沖縄県を除く九州7県はどこも同様に人口減の脅威に襲われている。人口減は地方銀行の経営にとって由々しき問題だ。だからこそ各県にある地方銀行は危機感を持って持株会社の画策に奔走し、業容拡大を図っているのだ。
久保田会長、チャンスを逸する
2004年10月に西日本銀行と福岡シティ銀行が合併して西日本シティ銀行が誕生した。昨年10月に合併10周年記念行事が賑々しく行われた。そして今年で11年目を迎える。合併時点では福岡銀行を抜いて九州では資金量一番の地位を固めたのである。福岡銀行のプライドが傷ついた。巻き返しに躍起になった。筆者が西日本シティの経営陣の一角にいたとすれば「この際、一挙に福銀との差を開け!!」と叱咤激励をして鞭を打つ。
しかし、西日本シティ銀行には2つの不幸があった。11年前にはこの持株会社=ホールディングス方式が主流ではなかった。だから西日本銀行、福岡シティ銀行の合併という選択しかなかった。この合併は福岡シティの救済が目的であった。二行の合併を1つの組織に仕上げるには時間がかかる。積極的に業績拡大に転じるには時間を要した。
ところがだ。福岡銀行が御上から「親和銀行を救済しろ!!」と命じられた際の選択はふくおかフャイナンシャルグループ(FFG)の設立だった。この組織方式であれば改革・人事処理は速やかに断行できるメリットがある。時の利を活かせたと言える。そして西日本シティ銀行追撃の武器にした。西日本シティ銀行側はこの方式をFFGが設立された8年後に採用した。これが1つの不幸だ。
2つ目は二行合併と久保田頭取の就任の時期が重なったことである。大蔵省エリートとして勝ち残った能力が抜群であることは一目瞭然だ。だが、その能力と銀行間戦争の指導力とは異物である。久保田頭取の時代に、一瞬にして銀行の体質が官僚化してしまったのだ。これでは福岡銀行=FFGとは勝負にならない。FFGが『時の運』にも恵まれていることに驚く。
しかし、また新たな金融再編の荒波が襲ってきた。再度、逆転の可能性が高まってきたのだ。西日本シティ銀行の谷川新頭取の今後の采配如何では局面打開の可能性がある。同氏のリーダーシップに期待したい。
(了)
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