2024年12月23日( 月 )

6,000年の悠久の地~ギリシャ・クレタ島いかに(2)

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健康ブームに沸くオリーブオイル

olive2 「オリーブオイルは健康に効く」とか「オリーブオイルを一番飲んでいるクレタ島の方々は長生きする」とか囁かれて日本では大ブームが生じている。馬鹿な連中は日本国内でオリーブ樹を移殖始めているのだが(糸島地区でもその動きがある)、来年、再来年に収穫できるはずもない。収穫時期にはオリーブオイルブームも終わっているのではないか。後記するが、本場クレタ島のオリーブの樹は6000年の歴史があるのである。神々が宿る樹として崇められてきたのだ。

 日本には過去において健康食品ブームが幾多か生じた。しかし、食油に関してはあまり関心を示してこなかった。というよりも無頓着すぎたのである。確かに金持ちも酸化された食油を飲んで体に害を与えられることへ無知すぎた。そしてここにきてようやく「オリーブオイルは健康に効く」ということが認識されてブームが爆発したのである。それも「クレタ島のオリーブオイルが一番、性能が良い」という権威が確立したのである。

 ネットで【クレタ島のオリーブオイル】で検索されたし。びっくりするほどのオリーブオイルの商品の品数がある。ネット通販で取引されている。その品質もピンからキリまであるようだ。1本1,200円もある。500ml6本で16,500円は高額な部類か。250ml3本で9,051円の値がついているのもある。謳い文句は【すべて手作業でオリーブの実をむしりクレタ島の工場で精油して飛行機便で届けます】である。オリーブに関してはクレタの地名の信用は絶大だ。事実、クレタオリーブオイルの最高級ブランド名は【エキストラバージン】であり毎年、世界コンテストでトップの賞に浴している。

 世界のオリーブオイル生産ランキングを資料として添付している。1位がスペイン、2位がイタリア、3位がギリシャである。人口比較でいえばスペイン4,677万人、イタリア5,983万人、ギリシャ1,082万人(2014年調べ)。人口比率ではギリシャはスペインに対しては1/4、イタリアには1/5しかない。オリーブオイル生産量との比較において2国に遜色は無い。となると消費量は圧倒的にギリシャが上回っていると推測される。そしてギリシャの生産拠点の中心はクレタ島なのである。

オリーブ畑の林立が島全体で見られる素晴らしい光景

rank クレタ島の拠点都市=イラクリオンから南へ60km島を南北に車で縦走した。余談であるが、今回のクレタ島巡りの足はレンタカーを有効活用したことを補足する。国際免許を取得してレンタカーをフル稼働させれば足代は大幅に削減できる。観光時期がオフであれば1日、レンタカー代は保険込み30ユーロで済む。イラクリオンから南部へ向けて縦走するには三つの峰を超えることが必要である。途中には町らしく場所が4カ所点在している。また農村集落が5カ所あった。
 この60kmのドライブで接したオリーブ畑というかオリーブ林は至る所で目撃された。日本の棚田は有名である。だがこのクレタ島においてもオリーブ棚田と表現して良い光景を目の当たりにした。オリーブ段々畑が数多くあったのである。緩やかな傾斜の場所にもオリーブの樹が林立している。平地にもこれらまたオリーブの群生である。この林の中を羊、牛、馬などの家畜類がオリーブ樹の下草を食べている牧歌的な情景には非常に感動した。一説によればクレタ島の農業可能な用地の40%がオリーブ畑になっているとか。

 6,000年の歴史があるオリーブ樹と住民の触れ合いには独特の伝統が蓄積されている。オリーブの実をむしるのは5年に1回という掟を守ってきているのだ。4年間は実が自然に落下するのを放置しているのである。崩落した実は毎年、肥料替わりの役を担う。そして5年に1回、むしり取られる際には栄養分豊富な実になるのである。クレタ島のオリーブオイルが世界一の品質を保ておられるのは6000年の変わらぬ生産法を堅持しているからだ。

 生産高でトップのスペイン、二番手のイタリアでは目先の商売優先に走っているためにオリーブ樹の寿命が極端に短い。60年樹は樹自身に裂け目が入り枯れてしまうそうである。クレタ島では樹齢100、200、300年のオリーブ樹はザラである。600年物も珍しくない。
 6,000年の悠久の島・クレタ島で育成されたオリーブの樹に立ち迎える同種の樹はこの地上に存在しない。

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(つづく)

 
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