LIXIL、グローエのトップだったヘインズ氏を解任(後)
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不正を隠蔽してグローエ=ジョウユウをLIXILに転売
ジョウユウの買収を主導したのが、04年からグローエ会長兼CEOを務めるデイビッド・ヘインズ氏だ。11年からはジョウユウの監査役会メンバーを兼務し、経営を直接監督する立場だった。
だが、ジョウユウの蔡親子は非協力的な態度を通す。「蔡親子の協力がなければ、ジョウユウの事業に悪影響が生じることも懸念した。そのため、親会社であるグローエとしての唯一の効果である蔡親子の解任という選択肢を採ることができなかった」(前出の報告書)
蔡親子がジョウユウの財務実態をグローエに隠し通したように、ヘインズ氏もLIXILに隠蔽した。ヘインズ氏は、長年ジョウユウの財務情報にアクセスできず、ジョウユウの財務内容に問題があることを認識していたにもかかわらず、LIXILには報告しなかった。
ヘインズ氏はグローエをLIXILに高値で売ることが使命だ。グローエの業績をかさ上げするために、ジョウユウを買収しただけ。ジョウユウが信頼できる会社かどうか、はどうでもよかったのだろう。リスク情報を伝えたら、売れるものも売れなくなるではないか。ジョウユウの不正会計を封印して、ジョウユウと抱き合わせでグローエを売り飛ばしたわけだ。
このM&Aの核心は、TPG・クレディ連合とその代理人のヘインズ氏が、ジョウユウというババをLIXILに引かせて、高値で売り抜けたということだ。
LIXILは、調べることもせずに買収したツケを払うことになる。ジョウユウで660億円の損失を出したことにとどまらない。グローエの1,606億円の「のれん」を抱える(15年12月末現在)。このほか無形固定資産が2,093億円ある。
LIXILグループは16年3月期決算から国際会計基準(IFRS)を適用する。日本会計基準では「のれん」は20年以内に償却することが要求されている。IFRSは定期的な償却を行わない代わりに、毎期、「のれん」の減損テストを実施し、結果が悪ければ、大きな減損を計上する。
LIXILグループはIFRSの適用で、グローエの「のれん」の大幅な減損リスクを抱えた。グローエのトップだったデイビッド・ヘインズ氏の解任は、グローエ問題に飛び火する。「のれん」という名の時限爆弾がいつ爆発するか。LIXILグループの今後の注目点だ。
(了)
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