2024年11月05日( 火 )

6,000年の悠久の地~ギリシャ・クレタ島いかに(4)

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意外と先端の生き方かも

greece6 イラクリオンの屋台と言うか地元食堂で知り合った61歳のオジサンは、毎夜と言うか夕方の4時頃からやって来る。ワインを少しずつ飲み食事をしながら、3~4時間を過ごすのが日課である。この居酒屋のオーナーとは、友人関係にある。30年間、タクシードライバーをしていたが、昨年、辞めて年金生活に入った。もらう年金は月に600ユーロ(7万8,000円前後)。さすがにこれだけでは暮らせないが、身内らが1人当たり月100ユーロ程度、援助してくれるそうである。おそらく500ユーロくらいの収入になるようだ。であるから毎晩、晩酌ができるのであろう。
 このオジサンに言わせると、若いときからこのクレタ島に住みついている。若いときには、一時アテネに暮らしたこともあったとか。また、海外旅行には一度も行ったこともないとか。「クレタ島は、この世の天国だ。周囲の方々の支援もあり、楽しく老後を過ごしている。この酒場で毎日、友人、知人たちとダべリングするのが最上の楽しみだ」と語る。幼馴染と議論しながら飲み食いして1日を終えるとは、とてもハッピーである。

 今回、クレタ島視察を決断させた友人が、しみじみと本音を語っていた。「過去3回、クレタ島に行った。オリーブオイルの仕入れが目的であった。3日間もいると、もう飽きてしまう。田舎だなー、遅れているなー」と馬鹿にしていたそうだ。
 しかし、今日に至ると、「家族一党、幼馴染、近所の友人、知人とわだかまりもなく楽しむ暮らしぶりの方が、豊かなのではないか」という懐疑心を抱くようになった。「いや、時代の最先端の生き方ではないか」とも思うようになった。しかし、仕事を捨て福岡を離れる決断はしきらない。

 筆者も同じである。「自分の発信した情報がどう影響を与えたのか!!」「今日のNetIBのアクセス数は3万を超えたか!!」というところに、極度の関心を抱く。要は、自分の社会的存在、役割を確認して安心するのである。自分の情報発信の仕事を通じて、その影響度合い如何で、一喜一憂の人生を味わうのだ。その激務の戦いの疲れを癒すために、クレタ島にリゾート目的で訪れるのである。一生、クレタ島で永住する覚悟には至らない。

 後で詳細を述べるが、GDMメガロンホテルに3泊した。1人の日本人のビジネスマン(45歳前後か)がレストランに座っていた。昼間も夕方もいた。彼は終日、パソコンの画面と睨めっこしていた。ヨーロッパのどこかの国に赴任しているのであろう。休暇を取って、このホテルで静養していたと思われる。

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リゾートと観光地の違い

 2014年のギリシャへの海外からのお客は1,700万人、ヨーロッパ(EU内)からが70%を占める。観光の直接収入が170億ユーロ(2兆3,000億円)、GDP(国内総生産)の9.5%になる。間接的な観光収入の総額は450億ユーロにおよぶ。ギリシャにとって、すごい貢献をする観光業である。クレタ島まで足を延ばす外国人は3割と言われているから、500万人に達するとみられる(国内からは100万人)。
 クレタ島の観光・リゾート繁忙期間は、4月から10月まである。だから、行くなら12月から3月までの期間を推奨する。まずは、ホテル・レンタカーの利用料金が半額になる。また、利用者が少ないから、クレタ島でゆったりとリフレッシュすることが可能である。イラクリオン空港には、50台のバスが使われずに待機状態であった。多忙期には、離発着便も増大する。この50台のバスが飛行場内をフル稼働して、クレタ島にやって来たお客を運送するのであろう。

g5 そこで気になるのが、『リゾートと観光地の違い』である。『観光地』とは一般的には、観光客が観光対象を求めて集まることを言う。なので、大まかに言えば、『リゾート』は『観光地』に含まれることになる。これを区別して使うときには、『観光地』が観光資源を中心に周遊旅行者を集め、1泊のみ1回限りのお客さまが多いのに対して、『リゾート』は優れた環境を資源とし、繰り返し来訪する滞在客が多い場所と言える(リゾートと観光地の違いより)。
 クレタ島の夏場にやって来るEUの客たちは、最低でも10泊はするそうである。そして大半は、同じホテルに滞在するとか。一度、ラオスの古都・ルアンパバーンに立ち寄ったときのことだ。1人で町を徘徊していたら、やたらとフランス人と会った。彼らは、昔はフランスの植民地であったこのルアンパバーンの民家に1カ月以上滞在して、サマーバカンスを楽しむそうである。日本人も、同じ場所で10泊してリフレッシュできる生活スタイルをマスターすべきだ。

 3泊したGDMメガロンホテルは、イラクリオンでと言うよりも、クレタ島では最高格のリゾートホテルである。もてなしの原点はイギリス貴族風である。まず何よりも朝食が非常にお洒落で、料理が美味しい。スタッフも洗練されていて愛想が良い。「ハロー」と声をかけるときのスマイルが魅力的である。日本のホテルでも、これだけ教育されているところは珍しい。

 このホテルでは、10泊しても飽きることはないだろう。やはり『リゾートする』という意味は、同じ場所で10泊以上滞在してエンジョイすることではないか!!

(つづく)

 
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