『パナマ文書』を超える、山形をめぐる三篇(4)~公益の祖は本間光丘なり
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名湯が県内に無数あり
いやー、山形県では至るところに名湯が点在している。山形市では、かみのやま温泉と蔵王温泉とが有名である。かみのやま温泉のリード役は、名旅館『古窯(こよう)』が担っている。蔵王温泉は海抜1,200メートルのところにある。冬場のスキー客が、温泉で疲れを癒すところとして有名だ。写真を添付しているが、5月の連休でも風が強く、非常に寒い。山々はまだ雪を被っている。なお蔵王温泉と言っても、蔵王の一部でしかない(後で触れる)。
その他にも、たくさんの名湯がある。銀山温泉を筆頭に、数多い。
そのなかで異色なのは、新潟県と境にあるあつみ温泉である。「山の中」と思って到着すると、一山超えると日本海が目の前にある。港があり、そこから新鮮な魚介類が運ばれてきて、温泉旅館で美味しく食べられるのが特徴である。ただ、温泉街全体では、寂れつつある感じだ。耐震建築を投資できない業者もあり、廃業寸前の経営状態のところもあるとみた。
このあつみ温泉で、一人気を吐いているのが『萬国屋』である。県内の人気ランキングでは、1位が古窯、2位が萬国屋になっている。名山が林立
蔵王連山は広大である。蔵王温泉は、そのなかのごく一部だ。蔵王連山は、少しだけ福島県にまたがっており、残りの大半は山形県と宮城県に二分されている。福岡市と佐賀市とが直に背中合わせしているのと同様に、山形市と仙台市が蔵王連山エリアを通じて隣同士になっているのだ(行政合併も善し悪しである)。広いということは、それだけスキー場が数多くあるということだ。冬場のスキー客は、日本一を記録している(宮城県も含む)。
芭蕉の「閑さや岩にしみいる蝉の声」で有名な山寺は、正式には『宝珠山立石寺』という名称である。NHKの年越しの「ゆく年くる年」の除夜の鐘でも、よく登場する。山形市に位置するが、1,000段近い段数の階段を、老若男女が必死の形相で登る。下りの方々はすっきり爽やかな顔をしているので、途中で離脱するわけにはいかない。所要時間は25~30分か。外人の訪問者も目立つ。山形県内の観光地では、一番のヒットゾーンであろう。
『一度は自前の目で眺めてみたかった月山』には、神々しい畏怖の念を抱いていた。月山は、出羽三山の1つで、標高1,984mである。5月の連休でも、中腹から上はまだ雪を被っている。登り口も数多くあり、そのなかで「湯殿山コース」から迫ってみたが、烈風に襲われて前進できず、湯殿神社前で退却した。負け惜しみを言うのではないが、「月山は遠くから拝む存在」と指摘しておきたい。頂上に立ってみても、神の山を感じ取れない(だろう)。
山形の母なる川・最上川
最上川を見たことはなくとも、芭蕉の『五月雨をあつめて早し最上川』の句を聞いたことのない人はいないだろう。この句から、最上川の激流ぶりが想像される。季節は6月だ。世間では最上川を、「日本三大急流」という呼び方をしている。その評価は的確であろうが、最も適切な表現は、『山形の母川』と呼ぶべきだ。
米沢から山形、月山、酒田と北に向かって移動した。至るところで、最上川の支流に出くわすのである。全長229kmのこの河川の源流は、米沢市吾妻山である。だから米沢から酒田へ、山形県を北上縦断しているのである。『母なるナイル』という言い方を利用させていただくとすると、『母なる最上川』が適切だ。「最上川の河口を見たい」一心で、酒田市にある河口目がけて車を走らせた。河口に立つと、日本海から塩分の混じった突風が叩きつけてくる。河口は、酒田港として有効に使われている。
余談であるが、信濃川河口も新潟港と併用されて活用されているので、納得した。利根川河口は銚子港と連動している。ところが、石狩川の河口は大河の面影がまるでない。「あれー、これが石狩川の河口か?」と拍子抜けしたことがある。
それはさておき、寒風を受けながら「この最上川があってこそ、公益の祖・本間光丘が鍛えられたのだ」と感慨に耽った。(つづく)
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