ソフトバンク、孫社長がアローラ副社長を切った本当の理由(前)
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ソフトバンクグループ(株)の孫正義社長(58)は6月22日、東京国際フォーラム(千代田区丸の内)で開いた株主総会で、前日発表したニケシュ・アローラ副社長(48)の退任について説明した。孫社長は60歳のタイミングでトップの座を譲るつもりだったが、「あと1年になって、もうちょっと社長を続けていたいと妙な欲が出てしまった」と自身の心変わりを語り、「ニケシュは今回の件で一番の被害者」とかばってみせた。
投資家グループがアローラ氏の解任を要求
孫社長は円満退社を強調していたが、額面通り受け取る向きは皆無だろう。株主総会前日の後継者候補の退任発表は異例の事態だ。孫社長とアローラ氏の間に激しいやりとりがあったに違いない。孫社長が後継者として高額報酬で招いたアローラ氏を切った本当の理由は何だったのか。
今年に入り、アローラ氏の身辺はピリピリした空気に包まれた。アローラ氏の取締役解任を求める複数の書簡がソフトバンクグループの取締役会に寄せられたからだ。
米ブルームバーグ(16年4月21日付)は、「投資家グループが取締役会に書簡を送り、アローラ氏の副社長としての実績や適性に疑問を呈し、同氏の解任を検討するよう要求している」と報じた。
要請はソフトバンクの取締役会宛ての1月20日付けの書簡で行なわれた。同書簡は、米法律事務所ボーイズ・シラー・アンド・フレクスナーから送られた。アローラ氏について、利益相反の有無や過去に不適切な行為に関与した可能性、経営判断などのまずさなどを挙げている。これとは別に、ソフトバンク傘下の米スプリントの取締役会に宛てた投資家の1人からの書簡も、同様の理由でアローラ氏の取締役解任を求めている。
「投資家グループは両社の取締役会に対し、独立した企業による内部調査を実施するよう要求した」と伝えた。
特別調査委員会の調査完了の翌日、アローラ氏の退任を発表
投資家グループの要請を受けて、ソフトバンクグループは今年2月、取締役会の独立役員で構成される特別調査委員会を組成。シャーマン アンド スターリング法律事務所とアンダーソン・毛利・友常法律事務所の協力を得て、アローラ副社長の実績や適性について調査を実施した。
6月20日、調査を完了したと発表した。特別調査委員会は、書簡で指摘された問題はなかったと判断。申し立て内容について「評価するに値しない」と結論付けた。
特別調査委員会の報告書は、開示されるのが普通だが、発表したのは「調査完了」の紙1枚のみ。具体的内容はさっぱり分からない。
だが、特別調査委員会の調査結果が、孫社長がアローラ副社長に引導を渡す理由になった。
報告書が提出された翌日の6月21日、アローラ氏の電撃退任が発表された。22日の株主総会でアローラ氏の退任が決まった。電光石火の早業だ。
孫社長は1月に投資家グループから書簡を受け取った時点で、アローラ氏に見切りをつけていたといえるだろう。
(つづく)
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