ヘルシンキ直行便の光を絶やすな!(2)
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ヨーロッパへの直行便の市場はある
「アジアの玄関口」を標榜してきた福岡としてはオランダ直行便が途切れたのは真っ赤な恥であった。しかし、幸いなことに5月からフィンランドを本拠地とする航空会社フィンエアーが10月まで夏季定期便としてヘルシンキと福岡を結ぶ便を就航させた。二度と赤恥を掻かないために今回、福岡商工会議所・福岡経済同友会・福岡空港利活用推進協議会の三者で「フィンランド・バルト諸国視察団」を組織して8月17日より26日まで視察した。
欧州=福岡便を期待するが…
6月終わりに99回ライオンズクラブ世界大会福岡が開催された。筆者は世界からやってくる要人たち(次期ガバナー750名プラス家族1,600人内外・ガバナーとは各地区の運営責任者のポスト名。ライオンズクラブの年度は7月から翌年6月まで)を迎える役に就いた。そこで察知したのはヨーロッパから福岡へ来るのに仁川経由が多く見られたことだ。そこでヨーロッパ=福岡の直行便を切望するのだが、都市力福岡の動員力から勘案すると現実は厳しい。隔日便が精一杯である。
戦略的且多角化で組み立てる経営
17日昼過ぎ、ヘルシンキ空港に着くと即座にフィンランド航空(フィンエアー)本社を総勢50人あまりで訪問した。早速、実質的な討議に入った。先方は経営トップの2名が対応してくれた。先方の挨拶では「アジア便は18空路がある。日本には福岡を含めると4空路ありリサーチして日本は魅力的な市場であると結論づけている。できたら拡大したい魅力を抱いているところだが~」と語った。やはり市場調査を緻密にやっている。
磯山福岡商工会議所会頭から「ぜひ連日就航をお願いしたい。できるだけの集客のお手伝いはする」と申し入れを行った。「来年も5月からの夏季期間の就航は決定している。だが、現在と同様に週3便の計画で運行する。冬場は今のところ検討していない」と冷静な回答である。実績としては平均搭乗率が80%を超えているようなので損益分岐点は充分にこえている。夏季期間に毎日運航するには集客の増大が緊急の課題である。
下記の資料を参照いただけばフィンランド=日本の往来数は急増していることが分かる。今回の視察ツアーの間に日本人観光客と会った(友達夫婦とも会った)。「バルト海クルーズが素晴らしかった」という感動の声をあげていた。世界的にはカリブ海、エーゲ海、バルト海が三大クルーズ地区である。「潜在的な市場(日本人が北欧へ訪れる機会増)がある」と読んで新規エアバスを日本・福岡へ投入することを明らかにした。 フィンエアーの要望は率直である。「発着時間を少なくとも1時間ずらして10時半にしていただきたい」と提案がなされた。現在、8時着陸折り返し9時半離陸である。福岡近郊ならいざ知らず広島、熊本、鹿児島のお客が2時間前の7時半に福岡国際ターミナルに到着するのは非常に困難である。「1時間ずらせばまだまだ集客ができる」と踏んでいるのであろう。福岡空港運営側も気安く「OK」を出せない状況にある。
また素人として驚いたというか勉強になったのは貨物物流ビジネスである。先方から「ノルウェーのサーモンを釣り上げて36時間で食卓に届けることが可能である。サーモン需要開拓をお願いしたい」と申し出があった際に「機内は旅客空間よりも貨物空間の方が広いのだ」と気づいた。貨物輸送のビジネスも並列して行う戦略眼が必要なのである。西鉄関係者も同行していたので西鉄国際航空貨物担当者が近々、うかがうことも約束された(西鉄航空貨物は担当者がヘルシンキに常駐している)。国際便の運航を継続させるには企業誘致も兼ねた複合戦略が必要であることを痛感した。
視察組に福岡空港関係者がいた。「フィンランド航空の経営は厳しく効率を求める。対照的にオランダ航空の場合は福岡には5名のスタッフを抱えていた。余裕あるところを示していたがフィンランド航空は2名で回しており支店長は大阪と掛け持ちだ。コスト削減の意気込みが全然、違う。この徹底的な合理性追及はフィンランド国民の気質に根ざしていると理解している」。福岡県・福岡市の要人も同行していた。行政面からも産業交流のお手伝いも必要かもしれない。
(つづく)
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