2024年12月24日( 火 )

ヘルシンキ直行便の光を絶やすな!(3)

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日本大使館関係者との交流

 17日夜は、今回の視察3団体がフィンランド日本大使館のメンバー2人を招待して晩餐会を行った。大使館を代表した挨拶のなかで「ヨーロッパに進出することを目論んでいる日本の企業の皆さんのなかでまず試すという意味合いでこのヘルシンキに事務所を構えている例がたくさんあります」と耳にした。「なるほどなー」と頷いた。日本のビジネスマンにとってフィンランドの気風はピッタリである。福岡・九州の企業にこの特性を伝える重要性を再確認した。

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起業家よ、立ち上がれ!!

 18日はタンペレ商工会議所を訪問した。ヘルシンキから北へ170キロ、車で2時間かかる、古くからの工場地域である。最近では大学も集中している。フィンランドは南から北へかけて1,000キロ以上の距離がある。最北は北極圏に位置する。ヘルシンキからタンペレの先40キロ、ヘルシンキから200キロの範囲でフィンランドの人口が集中しており都会生活者の経済活動がなされている。このゾーンにフィンランドの530万人の人口の80%が集中しているのである。

 19世紀の初め、タンペレは繊維紡績業の中核地点となっていた。労働争議の拠点としても有名である。ある意味、フィンランドの工場地帯として国の経済をリードしてきた。
ロシア帝政に抵抗した革命家たちはこのタンペレに亡命していた。そのなかでとくに有名なのはレーニンである。彼はこの地で大量の書物を書き、ロシア国内へ莫大な扇動ビラを送りつけていた。タンペレでの亡命生活は10年を超えるという。このレーニンの偉業を祝してレーニン記念館がある。表現を替えれば社会運動=労働運動の黎明期にはフィランドにおいてはタンペレが先進地域となるのだ。

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 現在、ノキアに牽引されて機械工業が繁栄してきたが、現在曲がり角に立たされている。言わばノキアに左右されない自立できるニュービジネスの勃興が待ち望まれているのである。人口21万人の都市で大学生の数が多い(海外からの留学生も多い)。タンペレ商工会議所会頭はまだ40代の若さである。もちろん、中小企業の経営者として陣頭指揮を執っている。また、参加したスタッフも非常に若い。どのメンバーたちも地域産業の活性化、大学と地域の連携、交通網の進化などの専門役を引き受けている。空港担当の女性は熱心にタンペレ空港の利点を宣伝してきた。企業誘致担当者は「日本からも是非、企業誘致をおねがいしたい」と熱心であった。

 最大の関心事は大学と地域が連携することである。大学での研究・開発とタンペレにある企業とのタイアップの機会を増加させようと躍起になっているようだ。そしてシリコンバレー並みの起業家輩出に注力している感じである。シリコンバレーの研究に人材を派遣しているとも聞いた。できるだけ研究学生たちがこのタンペレの地で起業することをバックアップするという強い意欲が出席者の中から感じ取られた。

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有能な女性が続出する

 どうもその背景には、ノキア頼みの弊害があるとみた。ノキアの大躍進とともに大量雇用を生み関連IT機械工業は潤ってきた。ところがノキアの成長がストップし、かつリストラを敢行するようになったことで地域経済が悪化しだしたようである。合言葉は「脱ノキア」「第二のノキア出現」を掲げている。フィンランド人の気質が「イノベーション強化」を誘導しているようだが、この国の歴史にも由来していることであろう。

suomi7 途中から女性市長が登場した。40歳前後のチャーミングな方である。ユーモアを交えて40分ほどタンペレ市の方向性を話してくれた。「タンペレ市はもともと、ものづくりの産業で発展してきた。今後はIT関連の産業を進化・強化させていきたい。大学に若い人材を結集させて、いずれはこの地で起業していく方の支援を最大限行っていく」と明快に披露してくれたのである。しかし、まー、日本と比較すると女性活用に関してはフィンランドの方が10年先を走っている感じだ。またどの女性もやる気満々、優秀である(フィンランド大統領は2012年まではタルヤ・ハロネンという女性が担っていた)。

 どうであれタンペレ商工会議所参加メンバーの地域活性化に貢献しようとする真剣な熱意はヒシヒシと伝わってきた。訪問団の福岡県の要人は「久留米市と同じ業態のようだ。交流するような段取りをしてみるか!!」と呟いていたが、視察を行えば必ず何か前進するもの、成果があがるものだ。

(つづく)

タンペレ

人口20万人を超えるフィンランド第2の都市タンペレ。ヘルシンキから160キロほど北に位置しており、長距離列車なら最速1時間30分で到着できる。
高低差のある大きな2つの湖、ナシ湖とピュハ湖の狭間に開拓されてきた都市である。豊かな水資源を利用し、古くから紡績業や機械工業などが発展してきた。現在は工場跡地が文化施設やレストランなどに変わり、劇場や音楽などのアート・イベントも豊富に開催される文化都市となった。市立美術館には、ムーミンの世界をたっぷりと堪能できる「ムーミン谷博物館」があり、観光客に人気の観光スポットとなっている。

 
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