インバウンド消費が失速。ラオックスとマツキヨ、ドンキの業績に明暗(後)
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ドン・キホーテの既存店売上高はプラスを快走
青信号で快走しているのが、総合ディスカウントストアで断トツの(株)ドンキホーテホールディングス(HD)。爆買いが失速した後も、中核のディスカウントチェーンを展開する(株)ドン・キホーテの既存店売上高は、落ちていない。4月が5.4%増、5月が1.3%増、6月が2.4%増、7月が3.7%増と、前年同月を上回った。
ドンキホーテHDの16年6月期連結決算は、売上高が前期比11%増の7,595億円、営業利益が10%増の431億円、純利益は8%増の249億円。27期連続の増収増益を記録した。
インバウンド消費の売上高は前期に比べて2倍の313億円。通期の既存店売上高は4.5%増だったが、このうち2.4ポイントをインバウンド消費が押し上げた。後半は高級時計の販売がさすがに落ち込んだが、化粧品、大衆薬がカバーした。訪日外国人の半数程度が、ドンキを訪れると言われる。中国、韓国、台湾からの旅行者が、訪日外国人全体の4分の3を占める。彼らがドンキに足を運ぶのは、深夜営業がお目当て。離日直前の深夜、早朝にお土産を買えるドンキは極めて便利だ。
クルーズ船で訪れる中国からの観光客は、寄港地の大阪、沖縄、福岡の店で買う人が多いようだ。免税売上高比率は、道頓堀御堂筋店(大阪)が57.3%、道頓堀店(大阪)が53.8%、国際通り店(沖縄)が45.8%、銀座本館(東京)が40.3%、中州店(福岡)が37.3%と極めて高い。ドンキは16年10月から、訪日外国人観光客に、各国の自宅に商品を配送するサービスを始める。帰国後、訪日時にドンキで購入した商品のリピート注文である「おかわり注文」を受けるのが狙いだ。
ドンキホーテHDの17年3月期の売上高は前期比8%増の8,200億円、営業利益は4%増の450億円、純利益は8%増の268億円と28期連続の増収・増益の見込み。たしかに、高額品の爆買いは終わった。しかし、インバウンド消費が完全に失速したわけではない。日用品の需要は堅調だ。懸念は一段と円高が進み、日本を訪れる外国人がピタリと止まることだ。インバウンド消費に力を入れてきたラオックスやマツモトキヨシHD、ドンキホーテHDは、正念場を迎える。
(了)
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