現代の経営は根幹・根源が問われる~安成工務店・CSV経営に学ぶ(5)
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10年間進化を続ける安成経営
安成社長と知り合ったのは、10年前の2006年初めのことである。初対面の開口一番、「下関は人口が減るばかりだ。どんなに頑張っても、市場が狭くなるばかりでは努力の甲斐がない。大票田・福岡において、下関で培った経営手法で勝負したい」と熱弁を振るわれた。一見、温厚な紳士に見えるが、内面では経営に対するビジョンを実現しようとする熱き思いが燃え上がっていることを知った。そこで提案した。「まずはM&Aしたらどうですか!!」と。
提案はトントン拍子に運んで、06年10月に(株)オークス建設の企業買収へと漕ぎつけた。07年1月より、安成社長がこの会社の社長に就任した。旧経営陣の1人=山根副社長が残ってサポートしてくれたこともあり、業績は進展していった。買収から10年で、安成工務店福岡支店を含めた福岡事業は、連結の40%占めるようになった(およそ55億円、従業員総数も40%)。福岡での事業基盤を、ある程度固めたのである。安成信次氏の人柄を、一見温厚と評した。だが、安成経営手法には、必ず目標を達成させる強力な意思が秘められているのが特徴である。
10年前、安成社長は熱気を持って持論を展開した。(1)環境共生住宅、(2)自然エネルギー活用、(3)省エネ実現のための断熱材活用を超えて断熱材メーカーの運営(グループ会社デコス)、(4)省エネ住宅実現の躯体システムの製造(化粧構造材プレカットのグループ会社エコビルド)、(5)商業施設マネージメント事業―と、次から次へと事業構想を語るのである。聞きながら、「理念、構想には共感するが、果たして事業の展開は可能なのか!!商業施設の運営にまで手を回す余裕があるのか?」という疑問を抱いたのだ。
ところが、(3)のデコスの工場を見学して驚いた。古紙(新聞)を素材にして断熱材を製造している様を目撃して驚愕した。素晴らしく、かつ効率的な製造過程を構築しているのである。「この安成社長の実現力は半端でない」と驚いた。今回の取材で、改めて確認した。(1)~(5)までのすべて事業を、着実に拡大させているのだ。ここまで具現化できた原動力は、たびたび指摘した安成社長の人並み外れた実現力と『CSV経営』との出会いであった。この10年間、安成経営は立ち止まるのではなく、進化し続けていたのである。(つづく)
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