2024年12月29日( 日 )

(株)百田工務店 3世代に渡る一族経営はさらなる繁栄か、衰退を招くか(後)

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(株)百田工務店

<COMPANY INFORMATION>
代 表:百田 善太郎
設 立:1956年1月
資本金:5,324万8,000円
売上高:(15/12)8億5,128万円
所在地:福岡市東区多の津1-4-5
URL:http://www.momota.co.jp/

篤氏、3代目社長に就任

 当初は「茂俊氏の子息が3代目を継ぐであろう」と語れていた。「篤氏は甥のつなぎ役」と目されていた。しかし「茂俊氏の子息後継」説はいつの間にか消えてしまった。2002年1月、茂俊氏に代わり、篤氏が57歳で3代目代表に57歳で就任した。篤代表のそれまでの経歴を見ると、67年4月殖産住宅に入社し、70年5月に百田工務店常務取締役、99年1月同社代表取締役副社長に就任している。就任後、05年3月に本社を現在の福岡市東区多の津1丁目、流通センターときめき通り沿いに移転させた。

 また、オール電化住宅など新しい住宅スタイルにも熱心に取り組むなど、攻めの姿勢が目立つ。そして07年6月には、低価格帯戸建住宅事業を主とするユースタイル(株)を設立させている。この頃からの百田工務店の業績推移を見ていくと、07年12月期売上高12億1,330万円。08年12月期同10億6,367万円。09年12月期同10億7,454万円。その後は13年12月期に同9億9,070万円と売上高が10億円を割り込んだものの、ほぼ10億円台で堅調に推移しているといえる。

 篤氏が常務時代には「ゼネコンとして一大勢力を築いたい」という野望に燃えていたのではないか。建設業界のリーダー格であった福岡建設協力会にも加盟していた。「福岡の中枢部で暴れたい」という気持ちも持っていたかもしれない。確かに過去の百田工務店から考えられないような新しい挑戦も行った。3代目社長として歳を経るうちに様々な経営戦略を考える。何よりも「企業存続するためには何を成すべきか?」を自問自答する。

 結論は(1)地元粕屋地区を中心に勝負する。(2)会社の遺伝子である戸建住宅に掛けるというものである。加えること(3)時代ニーズには柔軟に対応する。だからこそ「必要ない」と見切って福岡建設協力会からも脱退した。糟屋郡粕屋町仲原に無担保の土地を持つなど資産も豊富で前途は明るく見える。

 ただ事業拡大できた経営者から別の見方も指摘される。「篤社長が人事管理にもう少し長けていたならば福岡有数のゼネコンに変貌する余地があった」という辛口評である。これは極めた経営者しか論評できないレベルだ。どうであれ3代目篤社長が中興の祖であることは間違いない。もし他の人物が経営していたら潰れることはなかっただろうが鳴かず飛ばずに終わっていたであろう。「長男系が無理であれば次男系に経営の主導権を握るべき」という経営教訓になる。

4代目の実力やいかに

bunjo 篤代表が息子である善太郎氏に経営を引き継いだのが15年1月のこと。同氏はどのような人物なのか。経歴を見てみると、99年4月に(株)やすらぎ(葬祭業者)に入社。退職後、04年1月に百田工務店に入社し、その後はほぼ1年刻みで同社営業部長、執行役員、取締役部長、常務取締役、専務取締役と役席者の経験を積んでいる。同社内では早い段階で次期社長として認知されていたようである。従来の注文住宅、施工後のアフタフォローの充実という武器にくわえ、広告・リフォーム事業にも力を入れているようである。

 「現代表は営業マンあがりで、40代と非常に若いです。積極的に、HPやエフコープの住宅事業組織、アップルハウジングの刊行物を使っての広告営業を行っています。また、TOTOさんと共同で、キャナルシティでリフォームのイベントも開催していましたね」(住宅会社社員)。

 対外的なアピールに注力している様子がうかがえるが、同代表指揮のもと迎えた最初の決算(15年12月期)の売上高は、8億5,128万円と10億円を割り込む結果となった。経常利益に関しては、前期比約半減となっている。企業のトップとして、2年目を迎えたばかりの同代表の実力はまだ未知数といえるが、出鼻をくじかれた感は否めないのではないか。また、福岡市内では土地の値上がりが激しく、20~30万円/坪の物件を見つけることさえ難しい。そうした中、同社は飯塚など、福岡市外にも乗り出している。

 「当然場所にもよりますが、人気のある飯塚の住宅街、柏の森ヒルズだと12万~/坪から物件もあります。基本は福岡市内でしょうが、同社が掲げている『本社から1時間以内の場所』という条件にも飯塚は合いますし、今後同エリアでの案件は増えていくかもしれませんね。また、福岡市西区福重でクリニックビルも手がけているようですので、戸建以外の割合も増やしていくのかもしれません」(住宅会社社員)。

 俗に、初代が作り2代目で傾き3代目で潰す、と言われるが、同社の場合は、三代目はむしろ初代から受け継いできた事業基盤をさらに盤石なものにしたといえる。では、四代目はそれをどう活かすのか。あるいは活かせず終わってしまうのか――。一族がつないできた、経営のバトンの行方に注目していきたい。あとは善太郎君の頑張りのみである。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:百田 善太郎
設 立:1956年1月
資本金:5,324万8,000円
所在地:福岡市東区多の津1-4-5
URL:http://www.momota.co.jp/

 
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