溶けて溶けてどこへ行くの? 我々には覚悟はあるか(2)~突破力でしか生き残れない(前)
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自力でしか生き残っていけないのならば、各人が際立った突破力を持たないと生き延びることはできない。この真理はわかっているが、凡人は道を究めることを途中で投げ捨てる。
筆者の仕事関係から、突破力を有した傑物を紹介する。銀行マンが執筆者に変身・浜崎裕治
浜崎裕治氏は現在71歳。山口銀行を取締役で終えた。専務までは上り詰めるタマであったのは間違いない。山銀には、田中耕三という独裁相談役が君臨していた。この人物の私物化運営に異を唱えた取締役グループの存在があった。浜崎氏が、その一端を担っていた取締役であったのだ。田中耕三氏は労担として銀行にスカウトされた。だから争い事には長けている。田中氏の巧妙な画策により、取締役会議で正義派は一掃された。そして浜崎氏は銀行を去ることになった。ここから同氏の第2の人生・執筆者への道が始まった。
銀行を辞めて5年間は、民間企業に在籍していた。しかし、満足いかない。「どうしても銀行クーデターを小説化したい」という切望感が高まってきた。筆者と浜崎氏とは、山口銀行博多東支店営業開拓担当で活躍していた1977年からの付き合いである。浜崎氏から「NetIB-Newsに記事を書かせてくれ」という要請があった。「それならば実録をネットで連載しろ!!」と切り返した。そして連載が始まった経済小説「維新銀行」は1年と2カ月続いた。そのころの文章力は下の下。デスクから赤ペンで書きなぐられたものだ。ただし、資料収集には緻密な一面を発揮していた。
1年2カ月間の経済小説「維新銀行」を連載していくにつれて、文章力も上手になっていった。そしてついに14年10月に「実録 頭取交替」(講談社)のタイトルで、出版の運びに漕ぎつけた。実売1万3,000冊となった。ただ悔やまれることがある。5年前に売っていれば、5万部に到達していただろう。
浜崎氏は現在、金融アナリストとしてNetIB-Newsで腕を発揮している。おそらく今後、加速化する九州地方銀行の統合・再編の見通しは、同氏の予測通りになるであろう。2017年中には、小説第2作発刊の運びとなるだろう。
カシマ殺人マンション裁判に挑む・仲盛昭二
仲盛昭二氏は65歳。サムシングという構造設計事務所を経営していた。絶頂のときには、福岡地区で建てられるマンションの構造設計シェアの60%以上を引き受けていた時期がある。それだけの数字をこなしていた、構造設計の第一人者といえる実力者だ。ところが、本業から外れたところで挫折した。そこから長い苦しみを耐えてきた。一時期、『姉歯事件』の勃発で、マスコミからの問い合わせが集中した時期もあった。
冬籠りから決別されたのは、久留米の『カシマ殺人マンション』の訴訟の依頼を共住管理組合から受けたからである。弁護士は構造設計に関する知識はまるでゼロ。1つひとつ打ち合わせをしながら理解してもらう努力を積み重ねた。現在、この裁判の最終局面に差し掛かかっている。
仲盛氏は感慨にふける。「訴訟に勝つための焦点がわかるようになった。技術者として専門家としての正道を説いても裁判には勝てないという知見を得たことは、自分にとって財産だ。日本全国に、マンションの耐震構造の手抜き案件は数多く存在する。マンション共住者のために、不安をなくすために役立てていきたい」と述べる。
仲盛氏は国土交通省から『一級建築士の資格はく奪』の非道な仕打ちを浴びた。この資格仮処分の申し立てを、仲盛氏単独で、天下の国土交通省へ行った。天下様はさまざまな弁護士を立てる。そのなかで仲盛論法は、天下様を追い詰めていったのだ。近々、朗報が持たれるであろう。突き抜ける力を会得するには、中途半端な努力でなされるものではない。
(つづく)
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