2024年11月22日( 金 )

溶けて溶けてどこへ行くの? 我々には覚悟はあるか(4)~第四次産業革命とシェアリングエコノミーが不動産業界に大きな影響(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(株)アパマンショップホールディングス 代表取締役社長 大村 浩次 氏

 「賃斡旋店舗数」「賃貸斡旋件数」「取引オーナー数」「管理戸数」で日本最大級を誇るアパマンショップグループ。資産活用のコンサルティングとその関連事業を行う「R-Tech」(Real Estate Tech:不動産テック)および「IT」を武器に成長を続ける同グループにとって、2016年はどんな年だったのか。また17年の見通しについて、(株)アパマンショップホールディングス代表取締役社長の大村浩次氏に話を聞いた。

SOHO・コワーキングの施設数で日本最大級

 ――福岡県では現在、どのような活動をされていますか。

日本最大級のコワーキングスペース「fabbit」

日本最大級のコワーキングスペース「fabbit」

 大村社長 当社は子会社の(株)オフィスアテンド(本社:大阪市福島区、亀山浩二代表)で、全国各地にSOHOとコワーキングスペースを運営しています。
 九州では、日本の連続起業家である孫泰蔵さん(現・Mistletoe(株)代表取締役社長兼CEO)と北九州市のアドバイスによって、日本最大級のコワーキングスペース「fabbit」を14年にオープンしました。

 施設の概要を簡単に紹介しますと、コワーキングスペースに加えて、SOHO、イベントスペース、工作スペース、スクールなどを併設しています。fabbit北九州は、JR小倉駅北口(新幹線側)から徒歩2分の好立地にあり、日本最大のサブカルチャービル「あるあるCity」に隣接しています。あるあるCityには多くのクリエイターやデザイナー、漫画家や声優などが集まっており、異業種間でのスタートアップも期待されています。
 北九州市はかつて日本有数のモノづくりで栄えた街であることから、3Dプリンターをはじめモノづくりを目指すスタートアップ企業が触れ合う企画も用意しています。

 しかしながら、最も重要なことは、施設や設備ではなく、情報発信と会員同士のコミュニケーションです。毎週それらを実現するイベントや講演会などが実施されており、スタートから約3年間で、会員企業(個人)は1,800社を超えました。
 たとえば、2016年12月には東京から東証一部上場企業の社長などにテレビ会議でご講演いただき、北九州を含む全国の会員に受講していただきました。17年1月はアメリカ大手IT企業の役員に講演いただきたいと考えています。このように1社では経験できないことも、数千社が集まれば実現できるのです。

 地域にとって、地域を愛する起業家の成長は、雇用の面からも納税の面からも極めて重要です。地域のスタートアップ企業に貢献できるように、今後も取り組んでいきます。

 ――不動産会社でここまでIoT、ビッグデータ、AIを駆使しているのは、同業他社でも御社だけではないでしょうか。

oomura

(株)アパマンショップホールディングス 大村 浩次 代表取締役社長

 大村社長 すべてを把握しているわけではありませんが、当社と同じような取り組みを行っている同業他社は少ないと思います。
 もちろん当社の発展も重要ですが、業界全体の発展も大事だと考えており、今後は協会などを通じて第四次産業革命やシェアリングエコノミーを業界にも広げていきたいと思います。当社にとって重要なのは、個別のIT対応に加え、IT情報が集積する情報ネットワークの場と提携先へ情報を発信することです。地域と連携して、これを推進してまいります。

 ――05年に関連会社となったシステムソフトは、もともと福岡県の企業でしたが、今のような状況になることを先読みして支援されたのですか。

 大村社長 いえ、そのようなことはありません。当時、システムソフトの株主が売却せざるを得ない状況であったこと、またシステムソフト自体も支援が必要な状況であったことなどが重なっていました。福岡で生まれ、九州で初めてIT企業として上場した企業は、地域にとって重要であるという判断から支援させていただいたのです。
 その後は社員の皆さんの努力もあって、16年に東証一部に上場しました。現在は自己資本比率が約90%以上で無借金経営となっており、優良企業といわれております。

 ――御社も福岡発祥ですね。やはり東京とは何か違うのでしょうか。

 大村社長 私も、会社も、創業の地である福岡に感謝しています。福岡の会社が困っていると聞けば、何とか助けてあげたいと思っています。
 私は福岡のことしかわかりませんが、九州男児は男らしく振る舞い、苦しくともそれを外に見せず、努力を惜しまず、一生懸命働きます。東京で働いていても、九州男児、福岡出身であることを誇りとして活動しています。
 東京はお金があり、頭のいい経営者が多く、地方企業を買収し拡大している企業も多いですが、それらに負けず、福岡出身者が東京で実績を上げ、時間や資金の余裕を創業の地に還元することも重要ではないでしょうか。
 今後も九州男児として努力を惜しまず経営に取り組んでまいりたいと思います。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
(株)アパマンショップホールディングス
代 表:大村 浩次
所在地:東京都中央区京橋1-1-5
設 立:1999年10月
資本金:76億1,309万8,168円
売上高:(16/9連結)373億8,300万円

<プロフィール>
oomura_pr大村 浩次(おおむら・こうじ)
1965年生まれ、福岡県出身。99年10月、(株)アパマンショップネットワークを設立。2006年7月、(株)アパマンショップホールディングスに商号変更。

 
(4・前)
(5・前)

関連記事