2024年11月21日( 木 )

曙設備工業所、純資産10億円へ挑戦

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お手本・進興設備工業の財務力

 福岡の設備業界において、進興設備工業(株)(本社:福岡市南区、大野史朗代表)の抜群の財務内容には定評がある。無借金は当然として、2016年2月期の純資産11億5,622万円で自己資本率70.5%を誇っている。まだ17年2月期は決算中であるが、恐らく純資産は12億円を突破するであろう。同社は必ず独特の企業戦略を打ち出してきた。

 現在はマンション改修工事のダイレクト受注に専念している。一度、走り出すと頑固に自社路線を貫徹する堅い社内風土を有していることが特徴だ。その進興設備工業を尊敬し、お手本として取り入れようとしているのが、(株)曙設備工業所・野田弘之社長である。

設計事務所のお手伝いビジネスが功を奏す

 曙設備工業所がビジネスモデルを確立させたのは1990年ごろである。マンション設計の設備設計を自社で引き受けるという、設計事務所の設計作業代行に専念して花が咲いた。マンション主体のゼネコンの倒産が相次いで累計6億円以上の不良債権を浴びた。会社は地獄の淵に立たされたが、野田社長の奮闘で再生させ、【表1】の業績内容である。

 何よりも建設計画の情報が迅速に集まることには驚く。
 「野田社長!名島に某マンション業者が900坪買いましたよ」と情報提供のつもりで伝えると、「あーあれね。140戸の企画を設計しました。何処と何処のゼネコンで決まりそうです」とスラスラと回答がある。この名島の土地は1月に購入されている。どうもマンション業者は不動産決済して2週間以内に設計事務所に相談し、曙設備工業所には1週間して打診があるそうだ。だからデベロッパーが不動産を手にして、3週間以内には設備設計の概略依頼がある感じだ。

 もう1件驚いた。数日前に別のデベロッパーの社長から「白金でファミリータイプ70戸を売り出す予定だ」と聞いた。これも恩を着せるつもりで野田社長に耳打ちしたのだが、「あーそれね。昨日営業担当者が設計事務所で聞いてきた」とつれない返事があった。設備設計を代行したうちの90%は受注に繋がるそうである。何とも営業効率が良いシステムを築いたものだ。

2019年12月期で純資産10億円に王手

 15年12月期は職人の工賃値上げに対応が遅れて減益となった。ところが16年12月期は、減収となったが大幅な増益を果たした。労賃アップの対策をマスターした結果であろう。17年から19年期までの売上見通しは最低32億円を確保するとか。加えること16年12月期に純資産を1億円増やしたが、今後もこの水準の金額を補填するのは可能であるとのこと。
 野田社長は「19年12月期までには純資産10億円を積み上げる目途が立った」と結ぶ。

 

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