社長請負5社目、玉塚ローソン会長の転職先はIT業界(後)
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アルバイト仲間とゲームのデバック会社を起業
それでは社長請負業の玉塚氏が5社目の社長に就くハーツユナイテッドグループとはどんな会社か。リスナーズ(株)が運営するウェブサイト「LISTEN(リスン)」のインタビューで、創業者の宮澤栄一氏は自身の半生を語っている(2015年3月18日付)。
宮澤氏は1972年栃木県生まれ。「2度の倒産を経験した」。1回目は小学生のとき。父が経営する工場が倒産。2回目は高校を卒業してまもなく。父が新たにはじめたパチンコ店が倒産した。
家を飛びして上京。バンド活動を経て、作詞家として音楽事務所で働いた。だが、作詞の仕事で食っていけることができず、ゲームのデバックのアルバイトをした。デバックとは、ゲームのプログラムの不具合(バグ)を見つけて顧客に報告する業務だ。
2001年4月、アルバイト仲間とともに(有)デジタルハーツを起業(2003年株式会社に改組)。2007年マイクロソフトより「Xbox360」の推奨ゲームテスト企業認定を日本企業として初めて取得した。これが評価され、2008年東証マザーズに上場、2011年に東証1部に昇格。2013年に(株)ハーツユナイテッドグループを設立して持ち株会社体制に移行した。2017年3月の売上高は154億円、営業利益は19億円だ。
テストを行う人員を約8000人抱える労働集約型の会社。チェーン全店の売上2兆円のローソンのトップだった玉塚氏からみれば小企業だ。では、なぜ社長を引き受けたのか。
自動運転技術のZMPと合弁会社を設立
考えられる理由は1つ。自動運転技術のベンチャー企業(株)ZMPと共同事業を展開しているからだ。HUGとZMPは2015年1月、合弁会社(株)ZEG(ゼグ)を設立。車載ソフトウエア検証のためのテスト走行、データ収集、デバックなど、自動車・部品メーカーが従来社内で行なっていた業務を代行している。
ZMPは自動運転技術の期待の星だ。未来に向けて疾走する時代の寵児として、テレビ、新聞、雑誌に取り上げられてきた。ZMPの将来性から多くのベンチャーキャピタルや上場企業が出資。2016年12月に東証マザーズに上場を予定していたが、体制が整わず上場を延期した。ZMPは、自動車メーカーがハードルは高いとみなしている完全無人自動運転技術の開発を目指している。
玉塚氏は、ZMPとの協業を通して、ゲームのデバックから車載のデバックに事業を広げることで、HUGの成長の道筋を描く。これが5社目の社長を請け負った理由だろう。
(了)
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