2024年11月05日( 火 )

ヤマダ電機、船井電機の「FUNAI」テレビを独占販売の意味(前)

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 (株)ヤマダ電機は6月2日、船井電機(株)が製造する「FUNAI」ブランドの液晶テレビを発売した。両社は2016年、10年間の独占供給の業務提携を結んでおり、ヤマダ電機のみが扱う。18年には次世代型テレビの有機ELテレビの新製品も発売し、FUNAIだけで20年に台数ベースの国内市場でシェア2割を目指す。
 ヤマダ電機の創業者、山田昇氏の意図はどこにあるのか――。

米国で成功した船井電機は本当か

 日本経済新聞電子版(5月29日付)は、『カリスマ2人の「運命共同体」 船井・ヤマダ提携』と題する記事でこう報じた。

〈「日本メーカーで米国で一番たくさんテレビを売っているのは船井電機です。ヤマダは日本で一番テレビを売っている会社です。米国で成功した船井と、日本で成功したヤマダが役割をかみ合わせるんだから、組むことで一番になるのは実現性が高い」―。今月(=5月)17日に都内で開いた2社合同のテレビ新製品発表会は、異例な「手紙」でスタートした。〉

 船井電機の船越秀明社長が、創業者の船井哲良氏(90)の「手紙」を代読したという

 筆者は、この記事を読んで違和感を覚えた。というのも、船井が「米国で成功した」のは過去の話。今は、米国テレビ事業の低迷で、経営危機を招いているからだ。

3年半に社長が4人交代する異常

 船井電機は1961年の設立。当初から家電製品を安価に大量に生産し、輸出を中心に成長してきた。家電の輸出専業メーカーである。2000年代前半に、オランダのフィリップスブランドの液晶テレビを、タイや中国の工場で安く生産し、米小売り大手ウォルマートで販売するビジネスモデルを完成させた。
 04年3月期の純利益は263億円と過去最高を記録。毎期、200億円以上の純利益を計上してきた船井電機は「世界のフナイ」と呼ばれた。

 しかし、2000年代後半から韓国のサムスン電子など韓国勢や中国の新興メーカーが激安な液晶テレビを販売。低価格を武器にした船井電機は北米市場で大苦戦に陥った。
 17年3月期の売上高は前期比21.3%減の1,338億円、純損益は67億円の赤字(前期は338億円の赤字)。15年3月期に3,100万円の最終利益を出したほかは、11年3月期から赤字経営だ。

 13年に新たな収益の柱に据えるため、フィリップスのオーディオ事業を買い取ることで合意したが、契約違反があったとしてフィリップスから損害賠償を求められ、16年4月に175億円の賠償金を支払った。16年10月に、米国子会社の税金の未払いや販売協力金の非計上で決算短信を修正。17年3月期決算には、経営に黄信号が点滅していることを意味する「継続企業の前提に重要事象」が付いた。

 この間、社長は目まぐるしく交代した。5月15日、船越秀明氏が社長に就任したが、社長交代は3年半で4回目。経営は迷走状態だ。

(つづく)

 
(後)

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