2024年12月27日( 金 )

ファミマとドンキの意外な提携のワケ、ドンキがユニーを買収する!!(後)

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ドンキは免税売上が2割増

 ドンキHDは5月8日、2017年6月期の業績予想を上方修正した。売上高は前期比8%増の8,220億円、営業利益は5%増の455億円、純利益は6%増の315億円を見込む。純利益は従来予想(275億円)を上回り、初めて300億円を突破する。グループで保有する不動産を売却したため、76億円の固定資産売却益を計上したことによる。日本経済新聞電子版(6月23日付)は、こう報じている。

〈増収、営業増益は上場前から28期連続。継続中の上場企業の営業増益記録としてはニトリホールディングスの30期に次ぎ、食品スーパーのヤオコーに並ぶ長さになる。営業利益を16年度実績と比較すると、小売業界ではユニー・ファミリーマートホールディングスの560億円に次ぐ規模。百貨店首位だったJ.フロントリテイリングの445億円をしのぐ。〉

 好調な業績を牽引しているのは、インバウンド消費だ。訪日外国人が買い物する際に消費税が免税になる制度が、16年5月から拡充された。一般物品について、免税対象になる販売合計額を1人につき、同一店舗、1日あたり「1万円超」から「5,000円以上」に引き下げた。少額な買い物でも免税制度を活用できるようにしたわけだ。

 その恩恵に浴したのが、ディスカウントストアのドン・キホーテ。免税売上高は370億円程度と、前期に比べて2割増を見込んでいる。化粧品、医薬品といった消耗品が増えている。とくに百貨店が営業を終えた後の夜間が好調で、午後8時から午前1時が免税売上の大半を占める。
 店舗別の免税売上高構成比(16年7月1日~17年3月31日実績)は、1位が道頓堀御堂筋店(大阪)の58.3%、2位が道頓堀店(大阪)の55.6%、3位が国際通り店(沖縄)の48.3%、4位が中洲店(福岡)の44.4%、5位が新宿東口店(東京)の36.7%だ。

総合スーパーのユニーのM&Aが狙いだ

 それでは、業績好調のドンキがユニフフミマに提携を申し入れた狙いは何か。大胆に予測してみよう。

 ユニファミマの親会社である伊藤忠商事(株)は、15年にタイの財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループとの折半出資会社を通じて、中国の国有複合企業である中国中信集団(CITIC)の中核会社に1兆2,000億円を出資した。中国にネットワークを持つCPグループの首脳は、「中国を舞台にファミリーマートを10万店にする」構想をぶち上げた。

 日本のコンビニは飽和状態。中間層が台頭し、消費市場が本格的に拡大している中国市場が、コンビニの主戦場になる。ユニファミマHDが中国でのコンビニに本腰を入れるためには、業績の足を引っ張っている総合スーパーを切り離したい。

 ドンキには、それが狙い目だ。ドンキは、会社更生法を適用したスーパーの長崎屋の再建に07年に乗り出し、MEGAドンキという新業態に転換させてきた実績がある。スーパーの立て直しのノウハウは持っている。ユニファミマとドンキの業務提携は、ドンキによるユニーの買収に向う布石を打ったというのが、見立てである。

(了)

 
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