イタリア元気レポート(9)~また来るよ!ローマへ
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海外へも切り込むイタリア農業連盟
まず、7月6日夕方のイタリア農業連盟との意見交換会のやり取りを報告しておこう。先方の基調報告を要約する。イタリア農業連盟(CAI)はイタリア全土に組織があり、会員90万人(傘下団体も含む)、職員2,600人を擁している。統一合併を果たして40周年になる。本部はローマ中心部にあり20世紀初頭に建てられたオフィスビルを買収して本部にしている。組織は国内だけでなくアルバニア、アルゼンチン、アメリカ・ボストン、カナダにも進出しているそうだ。要するにCAIはイタリアの農産物を海外へ売り込む中核の役割を担っているのだ。
CAIのミッションは3つ。(1)農業において若者、女性、年金生活者を活用する場を提供する。そしてイタリア産品のブランドを高めていく(例えばイタリアワインの輸出増加のために、補助金を活用してコマーシャルを打つ)。(2)イタリア商工会議所に農業関係のメンバーを積極的に送り込んで連携強化を行う。(3)ロビー活動をさらに果敢に展開して補助金確保に専念する。CAIは「食は国家安保の要」ということを抜かりなく認識して活動している。しかし、日本と同様に若者を農業に従事させることは頭が痛い問題のようである。
そこでCAIが狙う戦略設定は、農業の6次産業化である。(1)農業地を市民が触れ合うことのできる機会の創出。(2)農業地域での宿泊場所の充実をはかり都市の市民を集める。子供からお年寄りまで組織化して宿泊体験をさせる。(3)シェフの有効利用を推進し、食事を堪能できる場を増大させる。この市場が拡大できれば海外観光客も誘致させる。農業生産に付加価値をつけてどれだけ儲けきれるかを6次産業化で実現する試みを行っているのだ。この挑戦は日本と共通の課題である。しかし、まず断言できることはCAIの方が日本の全農よりも農民の為に必死で汗を掻きながら貢献していることだ。
ローマの夕焼けには本当に感動した
7月7日。この1日は今回の視察の中で一番、多忙であった。まずは10時半からイタリア商工会議所連合への表敬訪問と意見交流を行った。もう一班はイタリア女性活躍協会との討議に向かった。途中、トレビの泉を横切ったが、朝から観光客が押しかけていた。イタリア商工会議所連合との交流の始めは先方の事務局方からの現状報告があった。当方からは商工会議所産業振興部長・井原隆博氏が福岡側からの報告提案を行った。
さらに昼間は在イタリア日本国大使館スタッフとの会食懇談会が2時間にわたって催された。その後、サンピエトロ大聖堂、ヴァチカン美術館などを巡ったが、どこも観光客で占有されていた。やはりミラノと比較して観光客の数は倍はいるだろう、と直感した。最後の晩餐は4つ星のレストラン『Ristorante Giuda Ballerino』であった。料理もさすがであったが、ローマの夕焼けも鮮やか。写真を参照いただければ納得できると思うが、この夕焼けの鮮やかさを目の当たりにすると、目が眩み一瞬立ち止まってしまうのだ。
その夜、午後9時開場の野外オペラ・カルメン観賞に出かけた。2回目となるカラカラ浴場での観賞である。その晩も1万人近い観客が集まっていた。野外劇場の独特の雰囲気に呑まれながら楽しんだ。「ローマにはまた来よう!!」と心の中で誓った。やはり魅力的な都市である。
7月8日フィンランド航空AY782 でローマを午前11時20分に発った。どうも福岡人らしい風貌をした方々をあちこちで見かけた。ヘルシンキまでは3時間25分かかり現地時間の午後3時45分に到着した。45分後の午後4時30分に福岡へ向かうAY075が発つ。これは便利だ!!喝采。またも福岡人のような風貌の方々も搭乗してきた。見たところ満席である。福岡には9日、定刻午前8時ちょうどよりも20分早く到着した。ローマ空港から福岡空港まで所要時間は13時間40分であった。乗り継ぎを考えると、これが最短時間であると思う。
(つづく)
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