2024年12月28日( 土 )

ディズニー、FOX映画事業買収でAmazon、Netflixを叩く(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 アップル、Google、フェイスブック、アマゾン――。IT(情報技術)企業が世界の産業構造を根底から変えようとしている。自動車、銀行、小売業の最大のライバルは、これらIT企業だ。テレビ・映画・音楽もまたしかり。新興のIT勢に侵食されてきた。娯楽の王様、米ディズニーが反撃に出た。

国内の定額制動画配信はアマゾンが独走

 インターネットを通じた動画配信市場は今後も拡大が見込まれている分野だ。日本映像ソフト協会の調べによると、16年(暦年)の有料動画配信市場は、前年の961億円から300億円以上増加し、1,256億円と初めて1,000億円の大台を超えた。伸び率は30.7%増と、まさに伸び盛りだ。

 IT調査会社のICT総研が17年11月にインターネットユーザー4,500名を対象にWebアンケート調査を実施した。全体の81.8%が動画配信サービスを利用していたが、このうち66.6%は無料サービスのみ。定額制のサービスを利用している人は12.8%だった。料金を払わなければならないので、利用者が多いとはいえない。

 主に利用する定額性動画配信サービスは、Amazonプライム・ビデオが68%と断トツの首位。2位は日本テレビが運営するHuluの25%、3位はNTTドコモが運営するdTVの16%、4位が米国首位のネットフリックスの12%と続く。

 アマゾンはプライム会員(年額3,900円、月額400円=税込)なら追加費用なしで利用できることから、利用者拡大につながった。低価格で参入して圧倒的なシェアを握るやり方は、アマゾンが最も得意とする手法だ。

 Huluは、ディズニーの傘下に入ったため、ディズニー映画とフォックス映画がラインアップに加わる。映画ファンを呼び寄せる強力な武器だ。他社に圧倒的な差がつく。

 定額制動画配信は映画やスポーツを楽しむサービスが成長株だ。
 英パフォームグループはスポーツ配信に特化して急成長。Jリーグなどの配信を始めた「DAZN(ダ・ゾーン)」(月額1,750円=税別)は、配信開始1年を迎えた今年8月29日に契約者は100万件を超えた。
 国内の定額制動画配信市場は、旧来型メディアの日本テレビと、IT企業のアマゾンとのがっぷり4つの取り組みになる。テレビはアマゾンに勝てるか。最大の見どころである。

(了)

 
(前)

関連記事