相次ぐ前受金商法の破綻「てるみくらぶ」「はれのひ」「かぼちゃの馬車」(前)
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前受金商法の破綻が相次ぐ。海外旅行者から旅行代金をだまし取った格安海外旅行会社の「てるみくらぶ」。成人の日に営業を中止し、振り袖を着られない新成人を続出させた振り袖販売・レンタル会社「はれのひ」。そして、今度はシェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営する不動産会社「スマートデイズ」である。
シェアハウス投資 800人超に賃料未払い
首都圏で女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営する不動産会社(株)スマートデイズ(東京)は1月から、物件所有者への賃料の支払いを突然停止し、トラブルになっている。
問題になったのは、首都圏を中心に急拡大した「シェアハウス投資」。同社のホームページによると、シェアハウスは敷金や礼金が必要な一般的な賃貸物件とは異なり、トイレなど水回り設備は共有になるが、「各部屋に家具・家電付きで初期費用1万円と家賃だけで住める」と宣伝。不動産で副収入を得ようとする会社員らの投資を呼び込み、創業から5年余りで部屋数は東京や神奈川などに1万超に拡大していた。
同社は物件オーナーを見つけ、建築から管理運営まで請け負うサブリース(転貸)業者。契約は同社が物件を一括して借り上げて各部屋を女性に賃貸し、所有者には毎月保証した賃借料を支払う仕組み。ところが、賃料が支払われないトラブルが相次いだ。賃料をもらえないオーナーは800人超を数えた。
オーナーたちは、地方銀行のスルガ銀行(静岡県沼津市)から、使途自由の「フリーローン」を500万~1,000万円借りていた。金利は7.5%程度と高く、1,000万円だと年75万円の利息がかかる。賃料がストップしたため、利息が払えなくなったのだ。〈会社員らは融資を受ける際、仲介業者に預金通帳の写しなどを渡し、銀行との手続きを一任。ところが一部の融資で書類が改ざんされていた〉(朝日新聞2月13日付朝刊)
自分が借金するのに、銀行との交渉を不動産会社に一任するとは信じられない話だ。
「はれのひ」に払った4億円は戻ってこない
横浜地裁は1月26日、はれのひ(横浜市)の破産手続き開始を決定した。成人の日に営業をストップし、振り袖を着られない新成人が続出して社会問題になった、あの会社だ。
破産申立代理人の吉田進一弁護士によると、負債総額は約6億3,500万円(金融機関と一般事業者)だが、顧客に対する債務が含まれていないため、最終的に約11億円に上る見込み。被害に遭った新成人は1200~1,300人で、金額は約4億円になるという。
代金を支払ったのに受け取れない新成人は、6割がレンタルで、4割が販売。代金はレンタルが30万円、販売が45万円。これに対して、返済に回せる資産はわずか2,000万円。
新成人とその親から前受金として集めた約4億円も使いはたしたため、破産したのである。
(つづく)
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