支配・侵略の6000年の歴史の変遷~イタリア・シシリー島(4)
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シシリー2番目の都市・カターニャ空港へ
カターニャは人口31万人のシシリー島2番目の都市である。ここにカターニャ・ファンタナロッサ国際空港があり、パレルモにある空港との2空港がシシリーの観光客の大半を迎え入れている。規模は鹿児島空港並みという感じである。
しかし、往来便はアムステルダム、ミュンヘンとEU内の直行便がある。ローマ空港との所要時間は1時間半だ。行き帰りとも150人乗りの飛行機は満席であった。ただ問題は地元の客たちは手引きトランクを機内に持ち込むために手続きに時間がかかり、非常に混雑することだ。アマルフィ海岸をしのぐタオルミーナ海岸
カターニャ空港に到達したのが2月22日の18時で、すでに薄暗くなっていた。ここからタオルミーナまで車で2時間近くを要する。北上する感じだ。
宿泊ホテルまでの車中から眺めるシシリーの交通事情は(1)道路の整備が悪い(2)自動車でしか移動ができない、プラス後で知ったのだが、(3)物流の中核は鉄道が担っているということである。車中で紹介されたガイドさんは神島さんという日本人女性で、結婚して現地に定住されているそうだ(後のシリーズで詳細を説明する)。タオルミーナは人口11万人のリゾート都市で、2017年の夏にはタオルミーナ・サミットが開催された。それだけイタリア内でもリゾート観光地として最高の評価を受けているということだ。またナポリの南にあるアマルフィ海岸と匹敵するタオルミーナ海岸がある。その海岸を展望して感動しようというのが今回の視察の目的の1つであった。最近では、このタオルミーナに日本人観光客が増えている。今回のツアー中もたびたび、団体ツアーと遭遇した。
2泊したタオルミーナ・パークホテルは4つ星。1人1泊1.5万円である。「安い」と勘違いされては困る。この料金は冬・閑散期の料金だ。5月以降は3.5万円になる。要は繁盛期の夏場にしこたま稼いで、冬場は休むパターンなのであろう。
だから、タオルミーナの商店街では店をクロージングしているところもあった。彼らはドバイに行ってエンジョイしているとか。イタリア人というかヨーロッパの人たちは生活にメリハリをつけて過ごす。タオルミーナという街の中心部は海抜100~300mのところに形成されている。こういう地形はアマルフィ海岸と同じである。古代ギリシャ・ローマ帝国に侵略されたときの歴史的な遺産は腐るほどある。その典型がギリシャ劇場だ。この都市にも歴史遺産として残っていて観光名物の1つだ。この街にも残っている。当時の庶民にとって芝居を見るというのは唯一の憩いの場所であったのだろう。
タオルミーナのギリシャ劇場に到達した際にはひときわ強く雨が降っていた。ギリシャ劇場からエトナ山が近くに見られるとは想像もできなかった(翌朝の件は次号で別紙報告する)。当時の市民たちはギリシャ劇場での芝居を見ることで日ごろの鬱憤を晴らしていたのであろう。
このギリシャ劇場跡地はイタリアやギリシャのアテネなどあちこちで見たが、シシリー島内にもたくさんあるらしい。ギリシャ・ローマ帝国時代の文化水準の高さが偲ばれる。どうであれ雨にたたられて寒さだけが身に染みたことのみが強く記憶に残った。
強い雨のなかでもタオルミーナの商店街を散策する観光客の数は途切れることは無かった。ガイドさんの説明によると「夏場はこのストリートは押し合いへし合い状態になる」そうだ。この商店街の間に教会があり、おいしいレストランがある。2017年夏のサミットはタオルミーナの名を一躍、世界に轟かせた。ガイドさんが「あのホテルには何処何処の国の大統領が泊まった。あそこのレストランでトランプ大統領が食事した」と説明する。
寒い雨の中、昼食にために予約していた地元で人気のレストランに入った。5人の女性たちは全員、酒に強い。一気にワインを飲み干した。若宮夫人が語る。「昨夜からようやくイタリア料理というか、シシリー料理にありつけるようになった」。
解説をするとローマの食事は食堂料理である。(1)前菜・パスタ(2)メインディシュ(3)デザートの構成である。料理に腕を振るった形跡がないのだ。全員、「イタリア料理とは創作料理」と認識しているのだ。ようやく料理らしいものに接することができたのである。ガイドさんが「海岸展望スポットに行きましょう」と薦めるものだから2台のバンに全員同乗した。タオルミーナの中心街は海抜200~300mにある。昔の道はくねくねして狭い。「よくまあ、車の離合ができるな」と感心した。最近は道路の整備拡張が進んでいることは補足する。期待はしていなかったが、展望スポットに立った。強雨に打たれながら突風に吹き付けられる。海岸線には、しけで波が襲いかかっていて視界がゼロの状態であった。
「折角、アマルフィ海岸をしのぐタオルミーナ海岸の光景展望にきたのに雨というのは残念。同行者に申し訳ない」と意気消沈した。
夕食は一部のサミット参加者が会食したレストランであった。名島夫人が「さすが、ここのワインと料理はおいしい」と堪能の声をあげてくれた。狙いは意気消沈の筆者を慰めることにあったのだ。「すみません」と1人呟いた。「明日の日和を期待するしかないな」と言い聞かせて眠りについた。
(つづく)
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