(株)アダル、武野重美会長が見た上海の「いま」(1)
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友人と上海に飛んだのは今年1月13日。15日まで滞在した。アダル(本社:福岡市博多区)の武野重美会長の上海での近況取材が目的であった。
経済成長率でわかる、沈む日本、日の出の勢い中国
まずは日本・中国の経済成長率から眺めてみよう。1980年から2017年にかけての比較である。日本が中国を上回ったのは89年、90年の2回だけ(日本は5.42%、5.26%。中国は4.20%、3.90%)。この2年間は中国国内で政治動乱が起き、次への飛躍へ向けての踊り場だったのだ。一方、日本はバブルの絶頂期という時期である。
その後は、日本の経済成長率は惨憺たるもの。信じられないようなマイナス成長も経験した。バブルが弾けた92年に日本は0.20%。中国は飛躍の踊り場となった年に13.90%という驚異的な数字を残している。日本との差は13.70ポイントである。リーマン・ショックの後遺症が残る09年には、日本はマイナス5.42%の破滅的な記録となり、中国は9.20%と世界経済の立て直しの牽引役を担った。その差は14.62ポイントにまで広がった。
この27年間の経済成長率を比較しても、“沈む日本”、“日の出の勢いの中国”ということが理解できるだろう。現在、中国と日本の経済規模の差が2.5倍に広がっている事実を知る必要がある。この経済成長率は、中国全体の指数。経済先進地域・上海の成長率は、日本をはるかに上回っていることを認識すべきである。
上海の人口は2,415万人(13年)
89年に初めて上海に行った際の人口は1,400万人。盲流(田舎から流れてきた労働者たち)200万人と言われていた。それから24年が経過して、さらに1,000万人増加している。もちろん、盲流といわれる人たちは含まれていない。福岡市の人口約160万人と比較すると、上海は2,415万人であるから、15倍の規模の都市であることに驚くかもしれない。
市の面積を参考にしよう。上海市行政面積は6,340km2(福岡県は4,971km2)で、福岡市のそれは340km2である。興味深い数字になっている。上海の面積は、福岡の約18倍。人口と面積の関係は、両都市の比較において、ほぼ一致する。
平均寿命を紹介しておく。上海の男性の平均寿命は80.18歳、女性は84.67歳となっている(12年)。意外と長寿なのだ。上海ではあちこちの公園で、老人たちが太極拳で体調を整えているのを頻繁に見かける。筆者が上海に関わるようになって30年になるが、この期間に老人社会へと変貌することは想像もできなかった。
89年当時、人口1,400万人のマンモス都市には地下鉄がなかった。住民たちは自転車とバスで街中を移動していた。上海市政府はすぐさま都市交通計画に沿って、93年に初めて地下鉄を開通させた。現在、15路線・387駅・区間距離637kmまで拡大させた。営業距離ではすでに東京地下鉄を抜いた。何ごとにも、実施スピードが迅速なのである。
浦東開発の成功が、世界を代表する都市へ押し上げる
従来の上海中心部を「浦西」と呼び、川向かいは「浦東」と呼ばれていた農村地帯であった。この地区の開発を中国政府の主導の下に行うプロジェクトが発表されたのが、88年。筆者は福岡で初めて90年9月に、浦東開発シンポジウムを開催した。
06年までには国際金融街区、最先端オフィスビルの建設が完了した。500m級の高層ビル群が出現したのである。手詰まりになった浦西地区から中心街の機能を移管できたことで、上海の都市規模が充実・拡大した。これにより、世界有数の国際都市に変貌した。最終的に国際都市としての評価を決定づけたのは、2010年に開催された上海万博の成功だった。
(つづく)
(株)データ・マックスが主催する「MAX倶楽部NEXT」では5月8日(火)午後5時から、データ・マックスセミナー室(福岡市博多区中洲中島町2-3福岡フジランドビル8F)にて(株)アダルの武野重美代表取締役会長の特別講演会を開催。
中国進出から20年、集大成として新たに開設する新工場への想いを語ってもらう。参加申し込みはこちらをダウンロードしてプリントアウト、必要事項をご記入の上
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