2024年12月23日( 月 )

(株)アダル、武野重美会長が見た上海の「いま」(4)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

地方はいまだ工業団地建設ラッシュ

 行きは、上海着9時50分の便で福岡を発った。同行者は阿久根さん。前述したが、上海浦東国際空港は現在、4本の滑走路と2つのターミナルで運営されているが、現在3つ目のターミナルが建設中だ。さらに6本の滑走路も計画されているとか。利用者数は年間8,000万人である。浦東国際空港を訪れるたびに、その発展には驚かされる。入管手続きには時間を要したが、それだけ外国人の往来が急増した証明だ。待機中の飛行機の機数も、羽田空港を上回っている感じである。3ターミナルがフル稼働するようになれば、追い抜かれるであろう!

 浦東国際空港には、武野夫婦が迎えに来てくれた。車で一路、浙江省の工業団地に向かう。陸路は、上海中心部東部の高速道路を使うと思い込んでいた。しかし、いくら走っても見知った光景に遭遇しない。「なるほど、上海市街地を横切らない、東側(海側)を走る高速道路ができていたのか」と思い至った。中国国内では、一瞬にして新道路が開通する。浦東国際空港から南に向けて高速道路を飛ばしたのだ。距離にしておよそ150km。時間にして2時間半を要して、浙江省桐郷市にある工場団地に到着した。

 桐郷市も、ほかの自治体に負けないように工場誘致に躍起になっているのだ。中国の人件費はたしかに値上がりしている。武野会長の工場では、技術者が月収10万円、一般工員が6万円とか。あと5年もすれば、日本の給与水準に近づく。だが、中国の人件費が上がったとしても、それでも製造業の勢いが止まることはない。地方都市での工場団地建設ラッシュを目撃して、その確信をもった。とくに世界の大都市・上海の近隣地域では、成功する可能性は濃厚だ。中国の「世界の工場」としての役割は、まだまだ減少することはない。

6月稼働予定の新工場

 新工場建設現場に到着した。現場は6月の稼働開始に向けて、突貫工事が行われていた。工場は4階建て、建坪3万3,000m2の広さになる予定だ。新工場敷地は8,000坪であり、土地利用権利投資額を含めた総事業費は25億円を超えるだろう。繰り返すが、上海から南西に150km離れたこのあたりまで工場建設のラッシュに沸いている様子を目の当たりにし、世界の工場としての機能をはたしている中国の懐深さには圧倒される。次回に触れるが、中国国内のあらゆる自治体が企業誘致に奔走しているために成せる結果である。

 建設中の工場内を視察した。2棟が立ちならび、奥でつながっている。言わばU型になっているのである。巨大な設備計画を聞いて驚いた。また、設計図ものぞき込んだ。「ここにこの機械を、あちらならばあの機械を設置するのか」と想像していくと、興奮が高まってくる。日本と遜色ない機械設備である。フル稼働すれば、200名の従業員が働くことになるそうだ。4階のスペースは賃貸にするとのこと。6月に新工場が完成した暁には、もう一度立ち会いたいものである。

(つづく)

(株)データ・マックスが主催する「MAX倶楽部NEXT」では5月8日(火)午後5時から、データ・マックスセミナー室(福岡市博多区中洲中島町2-3福岡フジランドビル8F)にて(株)アダルの武野重美代表取締役会長の特別講演会を開催。
中国進出から20年、集大成として新たに開設する新工場への想いを語ってもらう。

参加申し込みはこちらをダウンロードしてプリントアウト、必要事項をご記入の上
FAX:092‐262‐3389
までお送りください。

 
(3)
(5)

関連記事