2024年11月05日( 火 )

怪物・カマチグループ創設者、蒲池真澄氏(6)

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<和白病院で基盤を築いた>

fukuoka_wajiro 後半のシリーズでは、北部九州事業=社会医療法人財団池友会のことについて触れていく。まずは池友会の基盤が固まったのは、「和白病院」の経営に成功したからである。一般人の反応としては「池友会って何?」というものであろうが、これが和白病院となると「和白病院なら知っている」ということになる。
 1983(昭和58)年頃から蒲池総帥は和白病院の建設を検討してきたが、本当に伸るか反るかの大勝負をかけたのである。この勝負に勝ったからこそ、今日の地位があるのだ。

 医療法人が民間企業=株式会社と比較して税制面で恵まれていたとしても、誰でもが巨大病院経営を成功させられるわけでもない。『日本一を極めたい』という蒲池氏の執念と緻密な経営センスがないと、成就することはできない。医療法人の経営も民間企業の経営も、トップリーダーの腕次第なのである。ただし医療法人の場合には、軌道に乗れば前回触れたような税制優遇で、資本蓄積のテンポが加速化できるメリットはある。

<東京・首都圏に進出へ全力投入>

siryou021_s さて、東京・首都圏事業に目を転じてみよう。現在、この地区には13の病院が運営されている。4月には、原宿リハビリテーション病院がオープンした。また10月には、五反田リハビリステーションを開院する予定である。この2病院を含めて13である。首都圏での病院開院の展開の主力は、買収・増改築であった。今回の2病院の開院は、すべて新規建築なのだ。蒲池総帥の強い意気込みが伝わってくる。いわば、北部九州事業での躍進の分岐点になった和白病院の開設と同じように、首都圏事業が大躍進できるかどうかの瀬戸際に立っているのだ。

 であるから、『一般社団法人巨樹の会』の財務シートを参照すれば、一目瞭然である。借入が膨張している。たしかに資本勘定は増えている。2013年3月期には22億6,062万円の資本蓄積をした。加えること14年3月期には50億7,802万円に蓄積額を増やした。倍増である。しかし、借入総額は450億円に膨らんでいる。

 蒲池会長は、今年75歳になる。凡人であれば、「もうそろそろ後進に道を譲ろう」という判断をするものである。ところが蒲池氏は、「俺の手で、俺の時代に、東京・首都圏を制圧して後進に譲ろう」と考える。考えるだけでなく、具体的に戦いの先頭に立つ。本当に頭が下がる。
 この借入総額450億円の過多状態を背負ってリーダーシップを発揮できるのは、蒲池氏本人しかいない。蒲池氏自身は、「まだ10年間の陣頭指揮は可能である。そこまで踏ん張れば誰か事業継承はできるであろう」と自問自答しての首都圏攻防なのであろう。福岡の『池友会』は、総帥がいなくとも組織は廻る。だが『巨樹の会』は、蒲池総帥抜きには運営は難しい。しかし、常人を逸した“100万人パワー”で難局は打開できるであろう。15年オープンの新たな2病院は、“戦艦”の役割を果たすことになる。この2病院の成功の果実を得ることができれば、勝利の流れが決定づけられる。

siryou011_s この大躍進の機会を巧妙につかむと、大医療ビジネス法人集団に変貌する。こちらの見立てであれば、2017年3月期には『カマチグループ』の総売上は1,000億円に達する。総従業員数は1万人を超える。そうなると、現在のTOTOの売上連結5,534億円(社員6,680人、連結26,549人)の規模に匹敵すると評価してよい。もちろん、業種の特異性を考慮しての話ではあるが――。(「何故、巨樹会の組織を医療法人にしなくて一般社団法人にしたのか?」という疑問が残る。それは短期間で450億円の借入過多状態にさせるという荒業は医療法人では制約を受けるからである。だから「規制が緩やかな一般社団法人という組織選択をした」と精通者は指摘する。)
 蒲池総帥!!開業41年でTOTO並みの医療企業集団の形成に漕ぎ着けるメドをつけたのは、凄い傑物だ!!

(つづく)

<プロフィール>
kamati_pr蒲池 真澄
学校法人福岡保健学院創設者、社会医療法人財団池友会理事長、カマチグループ会長。
1940年4月14日、福岡県八女郡黒木町生まれ。蒲池家は江戸中期から8代続いた医師の家系で、蒲池真澄で9代目となる。59年 福岡県立修猷館高校卒業、65年九州大学医学部卒業。東京虎ノ門病院でインターン(1年間)、九大大学院医学研究科、下関市立中央病院、福岡大学医学部を経て、74年に今日の池友会グループの礎となった下関カマチ病院を開院し独立した。

 

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