2024年11月24日( 日 )

怪物・カマチグループ創設者、蒲池真澄氏(9)

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徳田虎雄徳洲会は銭ゲバ・蒲池総帥私欲無し!(後)

<「カブトク」を介した錬金術>

 母親の秀子氏は「子供に美田を残す」ために、カブトクを蓄財の道具にした。カブトクそのものが病院の医薬品や備品の納入窓口としてサヤを抜くピンハネ会社だ。取締役は全員が親族である。その手口はこういうものだ。

(1)顧問料。カブトクは情報収集やアドバイスなどの業務を委託するとして、取締役である親族と顧問契約を結ぶ。毎月の報酬として、妻の秀子氏に400万円、三女の真理氏(医師)に50万円、五女の真紀子氏(整形外科医)に150万円、次男の毅・衆院議員の妻の美加氏に50万円――を支払った。
 次女のスターン美千代氏(眼科医)が代表を務めるGPホールディングス(東京都港区、以下GP社)とも業務委託契約を結び、会社に毎月200万円を支払った。GP社は04年に経営コンサルタントを目的に設立されたペーパーカンパニー。カブトクから資金を引っ張る蓄財会社である。

(2)過大役員報酬。カブトクの社長である長女の越沢徳美氏は月600万円、取締役の夫の越沢靖久氏(税理士)は月300万円、合わせて年間1億800万円もの役員報酬が支払われた。

(3)土地転がし。次女のスターン美千代氏は、港区元麻布の高級マンションの一室(約162m2)をカブトクに2億円で買わせ、その4カ月後にカブトクはGP社に1億4,000万円で転売した。美千代氏はカブトクを介した土地転がしで6000万円稼いだ。
 カブトクの監査法人はさすがに問題ありと判断した。カブトクとGP社の業務委託契約は「契約内容を裏付ける資料がない」と架空契約の疑いがあると指摘。土地転がしによる差額6,000万円はカブトクからGP社への寄付金とみなした。
 ファミリー企業を介してオーナー一族がカネを吸い上げることは、民間企業ではよく見受けられることで、とくに大きな犯罪性はない。しかし、病院は違う。病院は株式会社ではない。国や自治体から多額の補助金をもらい、税制面でも優遇されているからだ。
 公共性が高い病院のカネを、ファミリー企業がピンハネして、一族が吸い上げることは、横領にあたる不正である。徳田ファミリーは、虎雄氏が政治資金づくりのためにつくり上げた仕組みを利用して私物化した。虎雄氏が自ら墓穴を掘ったのである。

<中心は首都圏の巨大病院を経営する特定医療法人沖縄徳洲会>

hospital1 徳洲会グループは、徳田虎雄・前理事長が1973年に最初の病院を開設し、今では全国、に66の病院を含む280の医療施設を展開する巨大医療グループだ。その中には、特定医療法人沖縄徳洲会や社会医療法人社団木下会、社会医療法人鹿児島愛心会のように、高い公益性が認められて税制上の優遇措置を受けている法人もある。
 徳洲会グループは医療法人徳洲会が中心と思われているが、そうではない。中核は特定医療法人沖縄徳洲会。もともとは医療過疎地であった沖縄県の離島医療を目的に設立された。沖縄県の南部徳洲会病院など4病院を経営していたが、今や首都圏の病院も経営している。徳洲会の総本山で、徳田氏が入院している湘南鎌倉総合病院(鎌倉市)のほかに、相模湾に向かい富士山を望む景勝地にある高度医療心臓病医療センターの葉山ハートセンター(神奈川県三浦郡葉山町)、2014年に千葉県船橋市にオープンした千葉徳洲会病院など6つの病院を首都圏で経営。特定医療法人沖縄徳洲会が経営している病院は全国に17病院にのぼる。
社団医療法人社団木下会は、先進医療の千葉西総合病院など千葉県の3病院を経営。社会医療法人鹿児島愛心会は、垂水徳洲会病院など3病院を経営している。
徳洲会グループ66の病院のうち特定医療法人と社会医療法人を合わせて23の病院で税金の優遇措置を受けていた。この認定が取り消されれば、経営への打撃は大きい。

<特定医療法人の認定取り消しで「徳洲会=徳田王国」は崩壊>

 特定医療法人は、公益に著しく寄与していることを条件に国税庁が承認し、法人税が6%以上軽減される。法令・公益に反する事実がない、設立者や役員、その親族に特別の利益を与えない、などが要件だ。
 社会医療法人は救急医療、災害医療、僻地医療、小児医療など地域において必要とされる公益性の高い医療法人で、都道府県が認定し、法人税や固定資産税が非課税になる。
 税制的に優遇された特定医療法人や社会医療法人には、出資持ち分(私的財産所有権)の放棄、役員の同族支配の制限、役員に対する報酬基準など厳しい要件がある。親族に特別の利益を与えることは、税の優遇措置を受けている医療法人に許されるものではない。
 親族に特別の利益が与えたと国税が認定したことで、特定医療法人と社会医療法人の認定取り消しは避けられない。徳田虎雄氏が無一文から巨大医療グループに育てた「徳洲会=徳田王国」は崩壊の瀬戸際に立たされている。

<面倒みの良い蒲池総帥>

 蒲池総帥氏は徳田虎雄氏のような最終的な御粗末なことにはならないであろう。玄海町が宗像市と合併することになった。この玄海町役場の敷地を医療法人池友会が買収してヘリポートを建設した。あとの空き家をロボットベンチャー・テムザックにタダ同然で貸している。銭には厳しいが、こういう男気のあるところが蒲池氏の懐深さである。筆者の刎頸の友・テムザックの社長になり代わって謝辞を述べたい。

(つづく)

<プロフィール>
kamati_pr蒲池 真澄
学校法人福岡保健学院創設者、社会医療法人財団池友会理事長、カマチグループ会長。
1940年4月14日、福岡県八女郡黒木町生まれ。蒲池家は江戸中期から8代続いた医師の家系で、蒲池真澄で9代目となる。59年 福岡県立修猷館高校卒業、65年九州大学医学部卒業。東京虎ノ門病院でインターン(1年間)、九大大学院医学研究科、下関市立中央病院、福岡大学医学部を経て、74年に今日の池友会グループの礎となった下関カマチ病院を開院し独立した。

 

 

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