杭打ちデータ偽装 福岡市公表の施工件数に重大な疑義(3)~誤解与える公表件数
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杭打ちデータ偽装問題で旭化成建材が福岡市に報告した施工件数が実態と異なることが分かった。調査対象となる杭の種類を限定しているため、既製コンクリート杭以外の施工件数がカウントされていないのだ。報じてきた通り、同社施工件数は公表分を上回っている。
昨年11月4日に福岡市が発表した、同社の施工実績は既報の通りだが、この資料を見た市民には、杭の種類の違いにより調査対象が限定されていることは伝わらない。文章中に、杭の種類への言及はなく、誰が読んでも同社が施工した「すべて」の件数が挙げられていると思うだろう。
実数と異なる施工件数について、同社に施工件数の報告を求めた国交省に問い合わせた。すると同省は、同社に対し、横浜のマンションで使用された既製コンクリート杭での施工件数の報告を求めていたという。その理由について、同省は「過去10年となると件数も膨大。既製コンクリート杭は同社のメイン工法であり、早期に件数を知るために、同じ杭に限定した」と答えている。真相解明にはスピードも要求されるが、優先されるべきは正確に件数を把握することではないのか。
筆者は旭化成にも説明を求めた。以下がそのやりとりである。
――報告された3,052件には鋼管杭など既製コンクリート杭以外の件数は含まれていない。間違いないか。
広報 既製コンクリート杭の件数なので、それで間違いない。
――本当の意味での、施工件数は何件か。
広報 調査していない。
――なぜ既製コンクリート杭に限定したのか。国交省の指示だからか。
広報 国交省の指示で杭を限定したわけではない。横浜のマンションと同様の杭だからだ。
――業者に聞けば、鋼管杭でも偽装はできるという。不正がないかどうか、全件公表するべきではないか。
広報 繰り返しになるが、横浜のマンションで・・・。
――福岡市では、鋼管杭での施工が3件確認された。今後、既製コンクリート杭以外の杭の施工を調査する考えはあるか。
広報 現在のところ、考えていない。
一連の取材でわかった杭の種類を限定した理由は「横浜のマンションがそうだったから」である。旭化成建材の不正が発覚した以上、すべてのケースについて不正がないか調べるのが常識。到底納得できるものではない。
(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
・「ゼネコンは全部知っている」~専門家が語る旭化成建材のデータ偽装(前)
・「ゼネコンは全部知っている」~専門家が語る旭化成建材のデータ偽装(後)関連記事
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