開発に揺れる柳橋連合市場(5)~緊急総会で見えたジョイフル社と組合員の溝
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柳橋連合市場一帯を再開発しようという構想はずいぶん前からあったものだが、依然として実現はしていない。部分的な開発は今に始まったものではないが、現在2つの開発案が同時に進行しており、それぞれの説明会が住民および事業者向けに重ねられている。大規模開発を進める地場業者と部分開発を進める県外業者。2者の取り組みをめぐり、市場内関係者の反応にも温度差が生じてきている。
組合事務所移転めぐり
高口ビル入居者に対し、(株)ジョイフルコーポレーションの立ち退き交渉が進むなか、5月20日に柳橋連合市場協同組合の緊急臨時総会が開催された。これまで同組合が集まるのは年に1度の総会ぐらい。それが緊急臨時総会ともなると異例中の異例。関係者への取材から判明した総会での議題は以下の3つ。(1)市場内の共有休憩所の廃止について、(2)組合の事務所移転について、(3)修繕費など積み立てについて。高口ビル移転、もしくはジョイフル社の開発行為に関わるものが議題の中心であった。
たしかにこのタイミングでの緊急招集には意味がある。(1)の休憩所はジョイフル社がボーリング調査した通路に面する。ジョイフル社のマンション設計図をみると、ボーリング調査を行なっていた通路にまで建物を建てる計画となっている。つまり、皆が使える休憩所があの場所にあっては、不都合となるのだろう。また(2)については、まさに高口ビル移転の話に直結する。テナントはジョイフル社が退去交渉しているが、2階に入る組合事務所は組合員全員のもの。移転については、組合員の同意が必要となる。以前の理事会で突然、楠下理事長が事務所移転を切り出したことで、紛糾した経緯があった。そのため、組合員の総意を得るという目的があったのだろう。さらに、(3)については、老朽化したアーケードの柱など修復費用の積み立てを始めるという内容である。
緊急総会の様子を聞いた
総会に参加した組合員A氏はこう話す。「立ち退きの話は、ジョイフル社から個別に呼ばれているそうだ。組合員全員には配布していないが、信じられないことが書いてある資料もあると聞いた。高口ビル入居者以外は知らないので、それは怖いこと。たとえば、工事の期間や閉鎖期間など知らせるべき。なぜなら、工事によって営業に支障が出る可能性は高い。高口ビルの入居者は補償されて、それ以外の方には補償されないとなると問題だ」
途中、らちが開かない状況に、楠下理事長は「本日、ジョイフル社が近隣に待機している。呼んで話をするか」と組合員に投げかけたが、組合員はジョイフル社の入場を以下のように拒否したようだ。
「20カ月工事が入れば、売上の減少はわずかでは収まらない。明け渡してしまえば、工事は始まる。今、問題となっているのはジョイフル社との信頼関係。信頼できる方なら、話を聞いてもいい。でもこれまでの一連の市場内での動きをみて、ジョイフル社の話を信用してもいいのか。信頼なくして、話を聞いても意味がない」。
「市場の総意をまとめるのが本日の目的で、ジョイフルと交渉するのは筋が違う。まずはここにマンションができることに賛成か、反対かまとめるべき。組合員が安心して、この条件なら出てもいいという結論が出てから、出るべき。組合員あっての組合事務所、協同組合。先に移転ありきで、話をされても困る」。
総会後の組合員の発言からも、ジョイフル社と組合員との信頼関係が崩壊していることがうかがえる。
(つづく)
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