新たな日本国の時代に向かって「捨て石」になる覚悟(中)
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福岡県議会副議長 原竹 岩海 氏
2015年5月15日、福岡県議会で臨時議会が行われ、原竹岩海(はらたけ・いわみ)氏(筑紫野市選出)が第77代福岡県議会副議長に就任した。副議長としての抱負や県政の課題など、さまざまなテーマについて話を聞いた。
――福岡県と政令市などの2重行政についてお尋ねします。
原竹 副議長としての立場ではなく、政治家として語る問題だと思います。
私は、市会議員を3期12年、県議会議員を4期、この世界で頑張っています。秘書の生活まで入れると、30年を超えています。そのようななかで感じることは、福岡県は人口が500万人を突破しています。500万人の人口は、九州では一番多い。そんななか市町村の数は、合併をして少なくなったとはいえ、60あります。この60のなかに、2つの政令指定都市があり、そこに半分の人口の250万人が住んでいる。福岡市に150万人、北九州市に約100万人。そして、その他の広い地域に県の人口の半分の250万人が住んでおり、福岡県は両政令市と一体となって、3本の矢が1本となっていろんな問題の解決をやっていく事が必要ではないか思います。
そのなかで、大阪のような都構想が対案として一石が投じられたが、これは政治家として大いに共鳴するところはあります。
1つの事例ですが、私の住んでいるところは筑紫野市です。人口が10万人を突破しています。筑紫野市、太宰府市、大野城市、春日市、那珂川町が旧・筑紫郡です。これが合わせれば人口50万の都市になる。もし合併すれば、福岡県で3番目の都市になります。今のところは憲法改正が先で法案は出されませんが、憲法改正やTPPの後は、国のかたちを変える道州制の法案が出されるのは目の前に来ている。――道州制の法案について、もう少し詳しくお尋ねいたします。
原竹 この道州制の法案に、強制合併ということが書いてあります。道州制になれば、外交と防衛と貨幣と年金を中心とする金融は国会議員の守備範囲になり、その他の医療、道路、河川、消防、警察業務は道州制の方になってくる。そうなると外交、防衛が得意な方は国会議員になって、内政が好きな人は州議会議員になる。これが結果的には、国会議員と州議会議員は対等になっていく。
そのなかで、県会議員の何人かは州議会議員になる人もいるし、現在の県議会議員のほとんどは合併後の30万人~50万人の新たな市ができてきて、そこの市議会議員になっていくのではないかと思う。強制合併は、文化と歴史が関係ない人口数の数合わせの合併です。
そこで、強制合併がされる前に、文化と歴史が共有される地域が先行的に合併するべきではないかというのが持論です。いっぺんに合併するのは難しいので、まずは旧筑紫郡のなかでも、とくに筑紫野市と大宰府は最も文化と歴史を共有し合っています。まず、ここから合併すると、20万人弱の都市ができる。20万人の市になれば、春日市や大野城市とも合併するパワーができる。
自分たちの将来の国のかたちを考えた場合は、今から準備しないと、そのときになったらどこと合併をするかばかりで、政治家はくたくたになってしまう。政令市は合併の必要はないので、余裕を持って一定の権利は持っていくでしょう。だから先行合併をして50万都市をつくり、福岡県下で3番目の市になって国と対等にやっていくことを考えています。――道州制を考えたら、九州全体の問題になってきますよね。
原竹 現実的に考えたら、佐賀県の人口は87万人。福岡市民の人口だけで152万人ですから、佐賀県の人口はそれよりも少ない。そのなかに、県の職員がいる県議会議員や市議会議員がいる。もし福岡県と合併すれば、何人かの県議会議員で済むし、県知事や県の職員も削減できる。合理化という方向になって、両方が抱えている債務を変換できる体質ができる。
長崎県も人口が150万人であり、福岡市よりも2万人少ない。そこも合併すると、同じように削減でき、強い体質になる。
大きく合併するなかで、道州制が現実的になってくる。だから政治家の数も当然減っていくし、質の高い州の議員ができてきます。新たな日本国の時代に向かって、自分たちはその“捨て石”になる覚悟です。自分が議員になるとかならないとかはどうでもいい話であって、自分たちはそういった礎になって、何十年か後に実施できる環境整備をやりたいと思っている。(つづく)
【吉武 輝実】<プロフィール>
原竹 岩海(はらたけ・いわみ)
1953年7月24日生まれ、東福岡高校を経て、久留米大学商学部卒業。福岡県議会議員秘書。91年、筑紫野市議会議員選挙で初当選。市議を3期務める。2003年、福岡県議会議員選挙で初当選。現在は4期目。民主党・県政クラブ県議団に所属。水資源対策調査特別委員会委員長や厚生労働環境常任委員会委員長を歴任。15年、福岡県議会副議長に就任。関連キーワード
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