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白い恋人、赤福、船場吉兆 明暗を分けた謝罪会見(2) | 東京レポート
特別取材
2007年12月18日 10:30

不信を深めた赤福の会見

 「まき直し」(売れ残り製品を包装し直し、賞味期限を再設定)、「先付け」(遠隔地向けの包装に、翌日以降の製造日と消費期限を刻印)、「むき餅・むきあん」(店頭回収した赤福餅を餅とあんに分離。むき餅は赤福餅に再加工し、むきあんは関係会社に販売)--。
 偽装を隠語で呼び、「先付け」や「まき直し」を繰り返さないように製造年月日の後に暗号を付けるなど、不正を合理的、組織的に行っていたのが赤福(三重県伊勢市)。会見は、お粗末というほかはなかった。
 売れ残った赤福餅を再利用していた赤福が発覚後、最初に行った会見で、浜田典保社長(45)は「売れ残りは焼却していた」と釈明。それが6日後に一転して偽装を認めた。それでも「現場主導だった」と会社ぐるみを否定した。
 さらに、浜田益嗣会長(70)が辞任会見したのは発覚の20日後だ。浜田典保社長の父、益嗣氏は、不正開始当時の社長で、伊勢商工会議所会頭という公職に就いている。赤福の最高経営責任者であるのに、会見に姿を見せず、消費者に説明をしなかった。
 経産省のハンドブックに書かれている注意点がすべて当てはまる。事実を小出しにして、情報を隠す。現場に責任を押し付けて、責任逃れする。経営トップが出てこない。こういった対応が不信感を深め、製造再開のメドが立っていない。

卑劣なり船場吉兆

 日本の三大料亭の暖簾を背負っている経営者は、こんなに卑劣だったのか。唖然としたのが、高級料亭グループ・船場吉兆(大阪市)の湯木正徳社長(74、辞任)と次男の湯木尚治取締役(38、辞任)の親子である。最悪会見の見本だった。
 最初に福岡で菓子類の偽装が発覚した際、尚治取締役は「パート従業員が勝手にやったことだ」と主張。正徳社長は会見に出なかった。
 本店で偽装が発覚し、やっと辞任会見に応じた湯木正徳社長は、牛肉の産地偽装は、「仕入れ担当者の独断だった」と説明。地鶏偽装については、「納入業者が無断で地鶏をブロイラーに変更した。裏切られた」と言い訳した。
 すべて他人のせいにして、経営陣は悪くないと開き直ったのである。
 だが、主張はすべて嘘。偽装は、長男の湯木喜久郎取締役の指示で行われていた。
 パート従業員は、勇気をもって会見し、尚治取締役から「全責任はパート女性にある」とする会社作成の報告書に署名、押印を迫られたことを明らかにした。責任を弱い立場に押し付ける卑劣な行為だ。
 湯木社長に責任を転嫁された京都市の鶏肉専門店「とり安」店主は、マスコミの取材に「約15年の取引の間、請求書や領収書に地鶏と書いたことは一度もない」と証言している。そもそも店は若鶏専門店で、地鶏を扱ったことはないという。
 吉兆との取引が始まって半年後に、鶏肉をほめてくれたのが先代の湯木貞一氏だと知り感激、以来、店主は吉兆に卸す肉は誰にも触らせず、1人でさばき続けたそうだ。15年にわたり、最高級の若鶏を卸してきた店主の無念は察してあまりある。
 発覚後のこうした卑怯、卑劣な対応が、事態をさらに悪化させた。日本料理における最高級店と称された「吉兆」のブランドは深く傷ついた。
 湯木親子は、責任をなすりつけてきたパート、従業員、納入業者に対する償いから、まずやるべきではないか。信頼回復はそれからだ。

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