1月30日、JSCA((社)日本建築構造技術者協会)が「建築構造士認定試験」を中止することを発表した。昨年6月施行の改正建築基準法に関連して改正された建築士法により、新たに「構造設計一級建築士」が今年11月に設置されるため。
JSCAは、構造計算書を偽造した遠藤孝一級建築士の問題(遠藤氏は会員ではないが、遠藤氏に構造設計を再委託した構造計画研究所と、元請設計者の松田平田設計は賛助会員だった)などもあり、昨年11月30日をもって構造計算の検証業務から撤退していたようで、さらに建築構造士も輩出しないとなると、資格そのものに価値がなくなって、同協会から会員が次々と離脱することが予想される。
国交省は今年1月に入って、建築確認申請の件数が増えても適判が停滞しないように、JSCAやBCS(建築業協会)、日本建築士事務所協会連合会を通じて、判定実務を手がけていない判定員候補者に就業を促しているが、その一角が崩れることになり、ますます人手不足になることが懸念される。
着工件数は回復の兆しにあるが、肝心要の適判を含めた構造計算審査機関の立て直しが無い限り、建築不況の問題は決着がつかないだろう。