福岡市の吉田宏市長は28日、市立こども病院・感染症センターの移転先について、人工島とすることを正式決定した。吉田市長は記者会見し、人工島に決めた理由を「医療の質の確保と向上のためには広さが必要。案の中ではベスト」などと述べた。一方、人工島移転に反対している患者家族や市民らは「納得できない」「市の独走だ」などと猛反発。人工島移転をやめるよう、署名を添えて要望した。
吉田市長は記者会見で、「他の候補地は適地ではない」「アクセスよりも広さ。広さがなければ質が確保できない」などと移転先を人工島に決定した理由を並べた。しかし、患者家族は移転に反対したままだ。
移転決定の発表後、患者家族はこれまでに集めた8,463人分の署名を添えた要望書を持って、市役所を訪れた。患者家族が集めた署名は3月21日、5月30日に提出した分と合わせて82,813人分となった。しかしこの日市長は面会せず、担当課長らが応対した。
患者家族の怒り爆発
患者家族は怒って訴えた。「市は一方的だ。これまでの説明会はなんだったのか」「自分たちの声はどう反映されたのか」「現地建替えはは最初から検討しなかったのではないか」「どんどん(用地面積が)広がっていくのはなぜか」「24時間光や騒音のある人工島の環境は適地なのか」「不安はまったく取り除かれていない。納得できない」。担当課長は「皆さんの意見を十分踏まえていきたい」などと話した。
市は9月の市議会定例会に人工島移転案を提案する考えで、移転の是非を決める判断は市議会に委ねられる。しかし、現地での建替えを排除し人工島移転に誘導するような報告書が明るみになるなど、市の検証・検討作業の信頼性は失われている。また市の強引な決定に対し、患者家族や市民の怒りは増すばかり。今後の市議会の対応や住民投票条例制定の動きが注目される。