過密化対策で「現空港の滑走路増設」か「新空港建設」が焦点となっている福岡空港は、それぞれの案が1つずつに絞られた―。
国土交通省は7日、福岡空港総合的調査専門委員会で、それぞれの代表案を提示した。増設案はかさ上げする最も安い「西側210メートル案」。新空港建設案は「三苫・新宮ゾーン」の最も陸側の案が代表案となった。ただ、新空港建設案は、「志賀島・奈多ゾーン」の最も陸側の案も「甲乙つけがたい」として可能性を残した。
新空港建設案は、これまで「三苫・新宮ゾーン」の2案と「志賀島・奈多ゾーン」の4案があった。このうち、三苫・新宮ゾーンの平均水深12メートルに建設する案が代表案となった。水深が浅いため他と比べて建設コストが安く、西鉄貝塚線の活用で交通手段を整備しやすいことなどに利点があるというが、漁業補償や建設費、建設期間などが課題だ。
ただ新空港建設案は、「志賀島・奈多ゾーン」の平均水深13メートルの案も横風の影響などが発生しにくく、同専門委では「2案には甲乙つけがたい」「今後さらなる検討によって変更になる可能性もある」としている。
増設案で代表となった「西側210メートル案」は、現滑走路の西側210メートルに新滑走路を増設するもの。最も事業費が安いが、滑走路をかさ上げすることで、ほかの「東側300メートル案」「西側300メートル案」と同程度の処理容量が確保できるという。
福商会頭が新空港建設要望
同日、河部浩幸・福岡商工会議所会頭は福岡市役所を訪れ、吉田宏市長に新空港建設を要望。河部会頭が「24時間運行できて、アジアを見据えれば新空港が望ましい」と語ると、吉田市長は「重く受け止めたい。しっかり検討したい」と応じた。福商は常議員会で新空港を要望する方針を決め、麻生渡知事にも要望書を提出している。
また、新空港の代表案が提示されたことについて河部会頭は、「(新宮案と志賀島案の)優劣はつけられない。両案を調査、検討をしていただきたい」と述べた。ただ、国は増設案を有力視していると言われる。