「保育絶望都市・北九州=一枝保育所移転問題」
8月21日保健病院委員会でのやりとりから
8月21日保健病院委員会での審議が実際どういうものだったか、議員の質問と保育課のやりとりを紹介しよう。
8月21日の北九州市議会保健病院委員会で一枝住民・保護者からの陳情案は不採択となった。しかしできるだけ多くの方に、実際のところこの委員会でどういう審議がなされたのか知っていただきたいので、全ては無理だが、ポイントとなる箇所を絞って紹介しよう。
共産党井上議員
「一枝保育所には現在障害児を持つ4つの家庭があったり、祖父母など年配者による送迎も多いが、本当にこうした家庭が通園困難になったり、不利益を被ることはないのか。不利益がないという根拠はあるのか。
また2度に渡った陳情で1万数千の移転反対署名が集まっているが、保育課として地元の理解は得られていると思うか」
保育課担当課長
「移転しても近くなる方、遠くなる方さまざまであり、基本的に移転先の市有地までは歩いて移動できると判断している。途中の経路も安全である。
全ての保護者の理解を得られているとは思わないが、説明会を繰り返し、資料をくまなく配布し、説明を尽しているので、事業団・市の考え方は理解されたと判断している」
(記者コメント:勝手に「判断している」だけで、実際の通園がどうなるか現在の利用者に対して調査もしていないし、通園条件について問題がないというだけの具体的根拠は一切示されていない。
また一方的な説明を繰り返しているだけで、2度に渡り多くの移転反対署名が集まっているのに、住民・保護者が移転を了解しているがごとくの強弁を張る役所の体質には呆れ返るが、他の委員がこういう役所側の答弁に突っ込んだ質問をしない議会の体質そのものが大きな問題だろう。)
共産党井上議員
「移転した場合、市はこれまでと同じく通園に問題はない、当事者である保護者は通園が困難になると言っているが、実際の利用者の話を信じるべきではないのか。
市が仙水町に移転を決定する前に何故、保護者や住民の声を聞くことをしなかったのか」
保育課部長
「障害児の通園については市全体で取組んでおり、移転後も通園可能と考えている」
保育課担当課長
「一日も早く老朽化した施設を改築するため、事業団と市で適地を探し、仙水町の市有地が適地と判断して公表した」
(記者コメント:実際の利用者の声を聞くという質問には一切答えていない。また障害児家庭の通園条件が悪化した場合、どのような措置がとられるのか、年配者が送迎していた場合で通園が困難になる場合はどうするのか、具体的な回答にはなっていない。
更に、移転先検討段階で保護者や住民の声を聞くことについての質問にも一切答えていない。
「お上である市とその傀儡である事業団が決めた移転先だ、早く建て直してやるんだから文句言うな!」というようにしか聞こえない記者は、ひねくれているのだろうか。)
委員会では2時間に渡って保育課の強弁が続く。
日本でいくらディベート(討論)の学習をやっても実らないのは、模範となるべき行政や政治の世界が、投げかけた質問にきちんと答えて本当の議論を尽そうとしない態度が一番の問題であろう。
保育課の課長や部長は、もし自分の子供に質問して、子供からこういう的外れな答えが返ってきたら、誉めてあげるのだろうか。
この写真は、バス通りから仙水町の移転候補地へ通じる道路だ。8月25日夕方6時過ぎの風景である。人通りは全くなく、左側の人家は高い塀が突き当たりまでずっと続いている。
お迎え時間が早く暗くなる冬場。いくらこれから街灯を増やすと言っても、女性や年配者の一人歩きは不安ではなかろうか。
民主党の三宅まゆみ議員は、わざわざ委員会でこの道が安全かのような質問をしているが、ご自分が「女性の立場でこの道を歩いて迎えにいく」ことは想像できないらしい。
その質問の内容を次回紹介しよう。
取材 松尾潤二
つづく
都市マーケティングの成功例「門司港レトロ」で
8月24日、門司港駅前「観光案内板」除幕式
北九州の都市再生ルネサンス計画の成功例といえる「門司港レトロ」だが、NHK大河ドラマ「武蔵」の放送年がピークで、その後残念ながら観光客数が減少傾向であった。しかし、昨年度からまた少し増加傾向に変わり、年間観光客は220万人を数えるまでに達している。その門司港レトロの起点と言える門司港駅前に、24日(日)民間主導で観光案内板が設置された。
門司ライオンズクラブが周年事業で積み立てた資金を、地元のために役立てたいとして提供し、デザイン・コンセプトをNPO門司まちづくり21世紀の会と門司港レトロ倶楽部が担当して作り上げたものである。
駅側にはレトロ地区一帯の見所が分り易く表示され、反対の199号線側は北九州出身のわたせせいぞう氏のイラストが観光客を迎えている。
挨拶に立った門司区長は、「レトロの観光客数をこの数年間で50%アップさせる」と具体的目標を掲げ、また来賓の中島慎一市議会議長も「来年にはレトロ地区の観光客を回遊させるトロッコ列車が運行を開始し、観光客の増加が期待される」と頼もしい挨拶が続いた。
福岡県と北九州市の共同事業で約100億をかけたと言われる観光施設「海峡ドラマシップ」の不振はあるが、全体としては、門司港レトロは都市マーケティングの成功例だと言える。
成功のポイントは、地元の町づくり団体と行政が良く話し合い、良好な協力関係を持っていることだと言える。
夏の名物となった関門海峡花火大会や今回の案内看板設置も民間が主導して観光の魅力アップに大きく貢献するカタチとなっている。
逆に「海峡ドラマシップ」の場合は、行政が地元の意向を聞かずに、勝手に計画を進めたことが敗因であることも間違いないだろう。
地元のことを良く知り、地元を愛する「民」の本当の力を引き出すことこそ、優れた行政マンの仕事ではないだろうか。
取材 松尾潤二
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