新・基本構想は「環境」と「アジア」を強調している。アジアとの関係、とりわけ中韓両地域との連携と競争は北九州市の発展にとって重要なテーマである。
基本計画(案)の分野別施策では「物流基盤を生かした国際ビジネスの振興」を謳い、「アジアのゲートウェイ機能を生かした国際ビジネを促進」するため、国際物流インフラの活用促進を主要施策に掲げている。
その中核施設が北九州空港とひびきコンテナターミナルだ。しかし、「環黄海圏ハブポート構想」の大看板を掲げ、計画当初、港湾運営を民間資本に委ねるPFI事業として全国から注目されたひびきコンテナターミナルは、開港からわずか2年で破綻。現在では北九州市港湾空港局が運営する北九州港の一部に組み込まれ、4航路・月16便が就航するのみ。35航路・月173便が就航する太刀浦コンテナターミナルに比べ惨憺たる状況だ。
90年代初頭から環黄海経済圏を標榜し、多くの学識経験者を投入しながら、対岸に位置する韓国の釜山・光陽両港の集荷戦略や環黄海圏地域の物流動向を分析・展望できなかった行政担当者の責任は重い。
しかし、見方を変えれば、大型コンテナ船が入港できる最新港湾を持ったことの意味は大きい。環黄海圏におけるハブポート構築の夢は潰えたものの、年間約2,000万TEUを取扱う上海港や年間約1,300万TEUを捌く釜山港をはじめ、光陽港・仁川港・天津港・青島港など、環黄海圏地域の有数港湾を結ぶ大型フィーダー船の航路開設が可能になったからだ。
現在、整備が進む新若戸道路が完成し、都市高速道路と直結すれば、ひびきコンテナターミナルを中心にした響灘地区の利便性が高まる。近年、企業立地が相次いでいるのも響灘地区のポテンシャルが注目されているためだ。
コンテナターミナル隣接地に工場を建設中の日韓合弁企業関係者は、「港湾設備の整った広大な工業用地が魅力」とし、「新プロジェクトも響灘地区に展開したい」との意向を語った。
1996年、響灘ハブポート構想が発表された頃、北九州市は市長を団長とする訪韓ミッションを派遣。当時、釜山港代替を目標に建設工事の進む光陽湾コンテナターミナルを視察した。その後10年余りが経過した今日、光陽コンテナターミナルは年間約173万TEUを取扱うまでに成長。ひびきコンテナターミナルとは好対照をなしている。
こうした「光陽」と「ひびき」の成功事例と失敗事例を徹底的に検証することが、基本計画で掲げる「国際物流インフラの活用促進」に向けた具体策構築への第一歩ではないだろうか。
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