01◆戸畑区一枝保育所の移転をめぐって
乳児保育所設立運動に関わった
元戸畑市職員・新地美智子さんに聞く
02◆北九州市「市シティプロモーション本部」いよいよ活動開始
北九州市のブランドイメージをうまく高めることができるか
01◆戸畑区一枝保育所の移転をめぐって
乳児保育所設立運動に関わった
元戸畑市職員・新地美智子さんに聞く
「これまで地域のために、働く女性のために作り上げられてきた一枝保育所の歴史を否定するような、行政の身勝手な移転案には反対です。」
——「乳児保育所」設立までにどのような活動を続けられたのでしょうか。
新地:
組合婦人部では、「産休明けから安心して預けられる保育所を作って下さい」と運動していました。
その頃、婦人の願いを集めて実現する全国組織「新日本婦人の会」(戸畑支部は1963年2月結成)の結成準備会が開かれました。
「ポストの数ほど保育所を!」という全国の保育所づくりの運動に励まされながら、地域の子育てを共に進めることになりました。地域の方へのアンケートなどの運動を広げていきました。ある商店では、みかん箱に座布団を何枚か敷いて赤ちゃんを寝させ、店番をしていました。市場の方にもたくさん署名をしていただきました。
実態調査に基づく市との交渉が実って、ようやく北九州市としても乳児保育所の必要性を認め、戸畑市で作ろうとした時よりも予算は減って600万円になりましたが、建設へ進むことになったのです。
——場所についてはなにか経緯があったのでしょうか。
新地:
乳児保育所の場所として最初、浅生が候補になったと聞いていますが、最終的に一枝になりました。安川財閥の松本七郎さんが土地を寄贈したという話もあったようですが、私は詳しくは知りません。
一枝保育所は、旧松本邸・現在の西日本工業倶楽部のすぐ目の前にある
——施設面や運営でどのような特徴がありましたか。
新地:
初めての赤ちゃん保育所ですので、女性の立場で意見を求められ、図面を見せてもらい、会としていろいろな提案をさせていただきました。
先に戸畑市と婦人の代表が東京三鷹市の乳児保育所を訪問して学んだことを参考にした面もあると思います。
赤ちゃんのためのオシリ洗浄槽や、それまでいなかった専任の保健婦さんが保育所で赤ちゃんの健康管理を行なうことになったのです。
こうした全国でも先進の取組みに、北九州市としても「九州ではじめての乳児保育所を建設した!」と誇らしげに宣伝したのです。そして高松宮妃も見学にいらっしゃったこともあります。
それから何年か経ち、地元からの要請もあったのか、大きな子どもも受け入れることになり、乳児保育所から一枝保育所と名前も変わったようです。
一枝保育所の地域といっしょになった取組みは保育水準の高さが、北九州の中でも先進的で、これまでずっと保母さんたちにとって目標になった保育所だったようです。
——今回の一枝保育所移転問題についてどのようなご意見でしょうか。
新地:
これまで地域のために、働く女性のために作り上げられてきた一枝保育所の歴史を否定するような、行政の身勝手な移転案には反対です。
北橋市長の「市民のための市政」という公約にも反するのではないかと思います。
3年前の民間委譲の際にも地域住民や保母さんたちと反対署名活動を行なってきましたが、保育の実情を一番よく知っている保母さんたちが、民営化で本当の意見を言いにくくなったのが残念です。
私も市職員のOBですが、今は財政再建で「お金、お金、お金」と市の職員も政策面で追い詰められているようですが、本当に地域にとって、子育てにとって、それでいいのか疑問に感じています。
「一枝地区から、保育所をなくさないで!」という住民の声を聞いて下さいと改めて行政の皆さんに言いたいです。
取材 松尾潤二
続く
02◆北九州市「市シティプロモーション本部」いよいよ活動開始
北九州市のブランドイメージをうまく高めることができるか
自ら本部長としてシティプロモーション本部を率いる北橋市長の腕前はいかに!?
宮崎県の東国原知事や大阪府の橋下知事の活躍で、地方自治体のトップセールスが注目されている。
北九州市も遅ればせながら、市のブランドイメージアップや企業誘致推進のため、「にぎわいづくり推進本部」を改組して「市シティプロモーション本部」を設置することになった。(全文はこちら)
北橋市長自らその本部長として、北九州市のブランドイメージアップに動くそうだ。
7月に北九州市は「環境モデル都市」に選定され、環境問題への先進的な取組みをこれから対外的にPRしていくなど、観光、企業誘致、市民意識の向上などのために具体的戦略を打ち出していくとのこと。
「都市ブランド創造」
「シティプロモーション」
「にぎわいづくり」
「観光振興」
などの専門部会を設ける他、「女性に活躍の場を提供できる街づくり」というテーマにも取組むとのこと。
市長就任以来1年半が経過して、人事面では少しずつ北橋色が出されてきていたが、組織や取組む事業としては末吉前市長からの流れを引継いだままであったので、ようやく「北橋市長としてのオリジナルの戦略」が打ち出されることになる。
この「シティプロモーション」により、北九州を実際に活性化できるかどうか、企業誘致をうまく進めることができるか、その成果が期待される。またそのプロモーションの結果しだいで、次の市長選挙にも大きな影響があると考えられる。
北橋市長には、北九州活性化のために全力でシティプロモーションに取組んでいただきたいと願う。
取材 松尾潤二
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