これは犯罪だ!!
8月6日、管理事業の関係者を集めた債権者集会が行われたが、その説明会には350人内外が参加した。但し金丸会長や宮崎社長は立ち合いをしなかった。会社側からは社員が「今後の取引の継続を願います」という釈明だけに終始したようだ。そこで判明した倒産の実態は債権者数5,600人、負債総額210億円というものであった。債権者数が5,600人とは驚いた。個人の債権者が数多くいるということは彼らから金を引っ張りだしたことの証明である(これだけの数の債権者の存在が民事再生法申請処理の時間を長くさせた)。
まず丸美が運営する会員制ホテル「ロマネスクリゾート」の会員は2,225人、預託金債権が70億円に及ぶ。ホテルは霧島、熊本・菊南、大分・湯布院の3か所である。また個人、マンション管理組合に呼びかけて集めた社債や不動産ファンドの債権者は994名で債権額46億円になる。個人から集めた資金総額は116億円に及ぶ。よくまーこれだけの金を集めたものだ。驚愕する。
一方では金丸氏の脳裏では「もし、『返還要求が殺到したら返せる目処があるか』と自問自答をして一抹の不安を感じなかったのだろうか」と想像をしてみた。同氏からは「そんな心配は微塵も抱かなかった」という反論が返ってきそうだ。SPCによる不動産の資金調達から発展して個人から直接、社債・ホテル会員権の名目で金を集めまくった。確かにホテル会員権の大半はホテル事業に注ぎ込んだようだが―。返す裏付けのないままの個人からの資金の調達行為は当初、悪用のつもりはなかっただろうが、結果としては犯罪行為に等しいものになった。メインバンクである佐賀銀行からの苛めを受け『銀行依存から脱却できる資金調達』の旗印を立てた金丸氏は一時期においては「中小企業経営者のヒーロー」として喝采を浴びた。それなのにこれでは『詐欺師呼ばわり』という悲しい事実しか後世に残せなくなってしまった。残念至極だ。
得意先を結果的には騙す
調査する度にホテル会員権1口200万、総額70億を超える預かり金に関して集めた金額にも仰天したが、単純に計算すると3,500人の会員になる。「よくぞ、まー短期間でこれだけの人数を集めたものである。公然化した営業活動はしなかったはずだが」と感服したものだ。ところが今回の倒産でその手口がわかった。会員権募集に応じた顧客の主力は丸美が管理していたマンションの居住者たちだ。
同社の管理担当者たちが「ホテル利用の会員になっていただけたら宿泊料も安くなりますし預けた分の金利も少しつけます。いつでも解約(1年過ぎたら)したくなったら返金可能です」と耳元で囁く。マンション管理組合の役員たちは「相手(丸美)はマンション管理業務を手広くやっているから信用できる話だ。ホテルを3つも経営しているとは凄い。管理積立金の一部でも回せば金利もつくそうだし組合員の家族の皆さんが安くホテルを利用できる特典がある。悪い話ではないな」と議論をして会員に応じた。これはあくまでもマンション管理を委託させている信頼関係で成立したのである。丸美が世間一般の不特定多数に会員権を勧誘しても相手にされなかったのは周知のこと。安易に得意先を債権者という被害者に追い込んだのである。
つづく