《残された公立保育所の実態も、子育て日本一を名乗るには程遠い》
一枝保育所に勤務経験のある保育士さんに、今回の移転問題だけでなく、北九州の公立と民間保育所の実態を聞いてみた。
保育士Aさん/
国の最低基準より少ない保育士で保育を行なっているにもかかわらず、保育士の定数を満たしているとの建前で、当局は自分たちに都合のいい計算方法で運用をしているケースが多く見受けられます。国の基準では1歳児のクラスは子供6人につき保育士1名が担当することが決められています。しかし実際は、例えば、1歳児17名のクラスを2名の保育士でみているようなケースが結構あるのです。
朝7:30から夕方17:30まで職員のローテーションにより、昼間、職員の勤務割当が重複している時間帯は基準に達していても、朝夕の時間帯は2人で17名をみるのは大変で、てんてこ舞いです。今、お母さんたちもいろいろな家庭の問題、子育ての問題を抱えて悩みが多いのですが、相談役になりたくても、少ない人数で多くの子供たちの面倒を見ていると言葉足らずでトラブルが起きたり、お互いの信頼関係を作り上げる余裕がなくなっているというのが現状だと思います。午前中の子供の様子を午後の保育士さんに伝え、何か問題があっても十分に引き継ぎをする時間がなくなってきています。
民間の保育所はもっと厳しいと聞いています。延長保育でゼロ歳児や1歳児10人を1人でみているようなところもあるそうです。「もっと保育士がいないとできません」と言いたくても、言うと首を切られるので過酷な保育を強いられているのが実態だと思います。北九州の公立保育所もどんどん民営化され、現在24にまで減ってきていますが、更に当局の目標としては20まで減らすそうです。公立保育所では、ここのところ新規の採用を全く行なっていません。
団塊世代がどんどん退職していますが、保育士はゼロ歳から6歳までの保育担当を2巡ぐらい経験して、ようやく1人前だと思うのです。しかし新規採用がないので、新しい保育士さんを育て、経験を積ませるということが全くできなくなっています。公立保育所の雇用や労働条件が厳しくなればなるほど、民間は更に条件が悪くなっていることは間違いありません。民営化は人件費を減らすことが一番の目的でしょうから。
(中略)
子育てや保育は、「全て人」です。公立だろうと民間だろうと、本当に子育てを重点政策とするのなら、建物など箱モノより、保育に携わる保育士を増やしていくことが、一番の良策だと思うのです。人を増やさず、むしろ減らし、少人数での長時間勤務を強いる流れの中で、市は言葉で保育の充実をいくら語っても、現場の保育士としては「現実的にどうすればいいの?」と、とまどうことばかりです。
(後略)
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