抜け駆けの新生銀行
関係者は、東峰住宅の売却を打診した名古屋の会社の関係者から「新生銀行が福岡進出を希望している企業を知っているから、新生銀行にあって欲しい」旨打診有り。2006年5月、新生銀行福岡支店を訪問し、新生銀行側は関係者に「穴吹興産が福岡進出を希望している」と告げる。関係者はその場で、これまで4社が東峰住宅の売却に関与(3社は買収検討の不動産開発会社+日興コーディアル証券)しており、M&Aのスキームに参加するよう新生銀行に申し入れた。その際関係者が有していた守秘義務契約書を新生銀行側に提示していた。
ところが、06年6月になって新生銀行側は関係者に対して「穴吹興産に、東峰住宅の買収資金の融資を行なうことから、(関係者が言った)M&Aのスキームには乗れない。佐賀銀行や東峰住宅と直交渉でなければならない」と告げたため、関係者は新生銀行に対してこれまで情報を積み上げ、東峰住宅のM&Aの件も新生銀行側に伝えた関係もあり、即座に拒否した。
しかし、07年4月、穴吹興産から東峰住宅買収の開示情報が流され、新生銀行の仲介により、穴吹興産による東峰住宅のM&Aが成立したのである。新生銀行は、関係者を除け者にしたのであった。激怒した関係者は佐賀銀行の当該役員に連絡、役員は「新生銀行はニッコウコーディアル証券が連れてきた」と説明。関係者は直ちに日興コーディアル証券に連絡したところ、日興コーディアル証券側は「一切動いていない」とのことであった。
佐賀銀行も地に落ちたものである。日興コーディアル証券とはアドバイザリー業務委託契約書(相手は佐賀銀行)の中で、東峰住宅が発行した優先株式(佐賀銀行が引受)の回収業務一任と東峰住宅売却の交渉仲介を謳っており、日興コーディアル証券が新生銀行を連れてきたといえば、事は済むと思ったのであろうか。
新生銀行にしても、(福岡進出を希望する)穴吹興産は知っていても、M&A案件先の東峰住宅までは関係者が話すまで知らなかったのである。その証に06年5月時点で、新生銀行は関係者に、「不動産の紹介手数料は(関係者に)支払う」とも述べていたのである。
新生銀行はバブル崩壊で破綻した日本長期信用銀行の第2会社、外資系の銀行となっているが、実務は全て日本人である。商道徳に違反した行為は決して許されるものではなかろう。また、東峰住宅売却に関して佐賀銀行を代表した役員が、東峰住宅の購入先探しの依頼をした関係者に対して、嘘をつくとは言語道断である。
こうしたことも佐賀銀行が世間(都市圏市場)を狭くしている要因であろう。
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